IoTの末端に位置する様々な孤立電子機器において、電力自給のためのエナジーハーベスティングデバイスは重要な要素である。人間が生活する限りは少なからぬ熱流が生じており、衣服や人間の住環境には必然的に内外温度差が生じている。これを利用すべく、人体や身の回りの排熱を利用するエナジーハーベスティングデバイスの研究が世界的に盛んになってきている。
本セミナーでは、熱電変換の基礎、ウェアラブル用途などに要求される条件、有機系熱電材料に特有のメカニズム、熱電および熱伝導率測定の注意点などの基礎的知識を解説した後、我々が狙っている従来概念を超える「やわらかい」熱電材料/素子について、そのコンセプトといくつかの最新成果を紹介する。
- 熱電変換デバイスの基礎
- エナジーハーベスティングと熱電変換
- 熱電変換の実用例
- 熱電変換デバイスの基本構造
- 熱電変換デバイスの基本設計思想と材料への要求
- パワーファクターと無次元性能指数
- ゼーベック効果の基礎
- ゼーベック効果概要
- ゼーベック効果の物理的な中身
- ゼーベック効果の理論式 (線形応答理論より)
- 様々な近似理論式
- やや特殊な例
- 熱電変換材料研究の現状概観
- 熱電変換技術の特許動向概要
- 無機熱電変換材料の現状
- 古典的材料設計指針
- 低次元化やナノ構造形成のメリットと限界
- フレキシブル熱電変換素子実現に向けて
- フレキシブル熱電変換デバイスの必要性
- どの程度の電力を供給できるか
- 有機系熱電材料/デバイスの報告例
- フレキシブル熱電変換素子特有の要求事項
- 有機系熱電材料の評価法
- 市販熱電特性評価装置の例
- 熱電特性評価の一般的注意点
- 有機熱電材料評価のための要求事項
- 熱伝導率測定法の比較
- 市販熱伝導率評価装置の例
- 熱伝導率測定の一般的注意点
- いくつかの方法の紹介
- 有機系熱電材料の広範囲サーベイ結果
- 広範囲有機系熱電材料探索結果と考察
- 有望と思われる材料系は?
- 有望な材料系1:不均一系材料
- 不均一系熱電材料とは?
- コアシェル型単分子接合を利用した不均一系熱電材料設計
- CNT/タンパク質複合材料による断熱性熱電材料の創出
- CNT複合材料の紡糸と布状熱電変換デバイス
- 有望な材料系2:高純度有機半導体における巨大ゼーベック効果
- 有機半導体における巨大ゼーベック効果の発見
- 巨大ゼーベック効果の普遍性
- 巨大ゼーベック効果発現の条件および物理機構考察
- 巨大ゼーベック効果に実用性はあるか?