今回、リチウムイオン電池システムの制御回路の専門家である小池哲夫氏と手分けして、EVなどのリチウムイオン電池の急速充電をメインテーマに講演することとなった。当初は電池だけの講演内容と言う事であったが、菅原の方から小池氏の講演をお願いした。同氏は日本の車載用電池システム化の創始者であり、菅原とは2008年のNEDO系統連系蓄電システムで、北陸電力 株式会社 に設置した世界初の100kWh蓄電システムにおいて、電池側とシステム側で共同開発にあたった戦友でもある。
近年のEVの発展は、自動車の運用上不可欠な急速充電、概ね30分以内の実現がキーであった。とは言え、急速充電は電池にとっては大きなストレスの蓄積である。安全性とサイクル寿命を維持した上での実用化は、電池の電気化学と設計の技術向上、更にはバッテリーマネージメントシステムBMSや均等充電回路等の実用化を経て達成された。自動車や電池メーカーの技術ノウハウの問題から、技術内容が公表され難い分野であるが、リチウムイオン電池の基礎特性を踏まえて、このテーマの理解を深めて行きたい。
講演1. EV, PHV用リチウムイオン電池の特性と急速充電
(13:20~15:20)
- リチウムイオン電池 (セル) の基本特性
- セルの電気化学的な構成 正負極電位と端子電圧 電解液
- セパレータの機能 セルの構造
- 円筒
- 角槽と積層 (ラミネート) セル (単電池)
- パック (組電池) とモジュール (システム)
- 充放電容量と入出力特性 (エネルギーとパワー)
- 安全性との関係
- 充電と放電、過充電と過放電
- 充放電とレート CC充電
- CV充電 過充電
- 過放電と危険性
- EV
- PHVとHVにおける充放電パターン
- 発熱と電池システムの冷却
- 関連事項
- EV、PHVのリチウムイオン電池
- 走行距離と電池容量
- 電力消費率 (充電と放電) と“電費“
- 急速充電と通常充電
- EVの充電 PHVの充電 充電時間と充電率、充電の電流とCレート
講演2. EVに適したLiBの開発とそのBMS及びアクティブCellバランサ
(15:25〜16:45)
近年、EVの需要が増し、各自動車メーカの開発が急伸している状況にある。搭載されるリチウムイオン電池 (LiB) に求められている要件とLiB 蓄電池電源に必要なバッテリマネージメント (BMS) とアクティブCellバランサ (ACB) について紹介する。
- EVに適したLiBの開発
- 電気自動車の課題
- Li Bに求められる性能機能
- 課題の対応策
- 蓄電装置の設計の考え方
- LiB組電池のBMSの開発
- BMS必要性
- BMS機能の構成
- LiB組電池のアクティブCellバランサ (ACB) の開発
- 各種セル容量バランサ方式
- 各種方式によるACB作動原理
- 効果
- まとめ
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