振動・騒音は望まれない現象であり、多くの製品でその対策が講じられている。対策として用いられるのが、制振材料、防振材料、吸音材料、遮音材料である。各材料に望まれる物理特性は大きく異なるため、その材料設計や製品への適用においては、それぞれの現象をよく理解し、使用する必要がある。
本講演では、これらの各材料の特性の理解に必要な、材料の力学物性、音の特性といった基礎的内容から、制振、防振、吸音、遮音材料の評価法、特性、材料設計の手法について解説する。
- 振動、騒音対策の概要
- 振動騒音対策 (制振、防振、吸音、遮音) の種類と特徴
- 高分子の力学的性質
- 高分子の構造
- 力学的性質の測定法
- 高分子の粘弾性挙動
- 制振材料の設計と評価
- 分子構造の影響
- 可塑剤の添加効果
- フィラーの添加効果
- ポリマーブレンド、共重合体の影響
- 架橋 (加硫) の影響
- 拘束型・非拘束型制振鋼板と評価法
- 防振材料
- 振動絶縁材料の材料設計
- 免震材料の材料設計
- 音の特性
- 音の基本的性質
- 音波による現象
- 空間での音響設計
- 聴覚特性
- 吸音材料
- 吸音特性の評価法
- 吸音材料の種類と特性
- 波動理論に基づく吸音特性の解析
- 各種吸音材料の吸音特性
- 遮音材料
- 遮音特性の評価法
- 一重壁の遮音性能
- 中空二重壁の遮音性能
- 積層構造の遮音性能
音・振動に関する様々な問題を扱う際には、その発生から伝搬・感知に至る現象がどういうものかを理解しておくことが必要です。その過程で材料の持つ吸音・遮音・力学的性質がどのように関係し、その特性をどのように把握するか、本講座ではこの点を中心に「音響に関する初心者でも理解できる」に重点を置いて、多くの事例を交えて解説します。
また、情報処理技術の発達によりほとんどの音響計測とその解析が高価な計測機器を使わずに簡単に自前でできるようになりました。その際必要となる、パソコンによるデジタル処理の基礎についても解説します。
「なぜ吸音するのか」「遮音のメカニズムは何か」といった物理現象としての本質を理解することが最も重要であり、この理解があって初めて有効な吸音・遮音構造体の選択、あるいは新たな吸音・遮音材料を創り出すことも可能となります。当講座では、吸音・遮音・防振に関係する諸問題において、その問題解決としてできる限り幅広い選択が可能となるような知識・技術が得られることを目指します。
- 身の回りの音と振動の実態
- 音と振動の基礎事項
- 音の物理と心理的効果
- 音の反射・吸収・透過
- 吸音の基礎理論
- 吸音率とインピーダンス
- 吸音のメカニズム
- 多孔質型吸音
- 板・膜振動型吸音
- なぜ吸音する?
- 吸音を表現するモデル
- 通気性の影響
- 共鳴器型吸音
- 微細穿孔板 (MPP) の吸音
- 吸音を表現するモデル
- 板振動の影響
- MPPの応用
- 吸音率の測定
- 管内法
- 残響室法
- 吸音による減音効果
- 残響理論
- インパルス応答
- 残響理論に基づく吸音の減音効果
- 遮音の基礎理論
- 振動と音の伝搬
- 遮音のメカニズム:隙間のない壁体をなぜ音が透過する?
- 空気音の遮音
- 一重板の遮音理論
- 音の透過を表現するモデル
- どうしたら遮音性能を上げられるか
- 二重板の遮音理論
- 音の透過を表現するモデル
- 空気層があることによる新たな問題
- どうしたら遮音性能を上げられるか
- 空気音の遮音性能測定と評価
- 個体音の遮音
- 個体音とは?
- 個体音の実態と対策
- 床衝撃音
- 床衝撃音の実態と対策
- 床衝撃音の測定と評価
- 防振の基礎理論
- 振動伝達の簡易モデル
- 防振の考え方
- ダンピングの測定と応用
- 音の測定と信号処理の基礎
- 音響測定一般
- 信号処理の基礎
- デモンストレーション