本セミナーでは、自動運転や高度運転支援の実現に欠かせない「自動車分野における通信技術」をテーマに2名の講師が解説いたします。
第1部では、自動車分野における通信の全体の状況や、国内外の動向、5Gを用いたコネクテッドカーの取り組みなどを解説いたします。
第2部では、コネクテッドカーに対するセキュリティリスクやセキュリティの規格・ガイドライン、要求されるセキュリティ技術などについて詳しく解説いたします。
(2018年10月23日 12:30〜14:30)
自動車は産業の基盤であるとともに、社会生活やロジスティックにおいて非常に重要な役割をはたしている。一方で、高齢化が急速に進み、事故の増加と共に労働生産人口の減少による人手不足のためドライバー不足が大きな課題となっている。こういった状況は、先進各国共通の問題であり、安心・安全な運転支援、さらには自動運転への期待が急速に高まっている。自動運転に向けて5段階のシナリオが想定され、それに向けた技術開発の競争が激化している。自動運転化には、自律型以外に通信の果たす役割が大きい。通信系としては、車対車、車対人、車対インフラ、など様々なモードが必要となる。これらを総称してV2Xと呼んでいる。インフラとしては、ITSの専用電波以外に携帯電話の果たす役割が期待されている。携帯電話の第4世代システムであるLTEの高度化の1つとして標準化が進展している。さらに、第5世代の携帯電話システム (5G) では、3つのユースケースとして低遅延のモードが自動運転の重要な役割を果たすとして期待がある。 本講演では、こういった全体の状況とともに、ネットワークとして第4世代LTEとその高度及び第5世代携帯電話の取り組みとV2Xに向けた実証実験について紹介する。
(2018年10月23日 14:45〜16:45)
今の自動車は1億行以上ものソースコードからなるソフトウェアによって動いている。ADAS、自動運転やコネクテッドカーのようなより進化した機能が導入された結果、OEMやサプライヤーによって開発、統合されたソフトウェアが増えている。 今日のコネクテッドカーはWi – FiやBluetoothのような多数のプロトコルをサポートしている。これらのプロトコルはすでに数々のいろいろな攻撃にさらされている。V2Xのような新しいプロトコルも徐々に導入されアタッカーにとって新しいターゲットになる。 コネクテッドカーエコシステムは種々のサービスプロバイダー、バックエンドシステム、スマホアプリ、充電ステーション等も含む。故にコネクテッドカーは大規模な攻撃の対象となる可能性がある。アタッカーが数々のシステムの同じ様な脆弱性を悪用する結果として大規模な攻撃が起こり得る。 脆弱性のほとんどは不適切なソフトウェアデザインや不適切な実装によるものである。結果として自動車業界は数々のセキュリティに関連した規格やガイドラインを構築してきた。これらの規格やガイドラインはソフトウェア開発ライフサイクルの一つひとつのステップでセキュリティを向上させるための取り組みを提供する。これらの取り組みは、セキュリティ要件やセキュリティデザインのレビュー、静的解析ツール使用での開発時のバグの発見、オープンソースソフトウェアでの既存の脆弱性を特定、ソフトウェアの未知の脆弱性を特定、そして最終的に製品の侵入テストの実行等が含まれる。 規格やガイドラインに提供された取り組みを採用することにより、OEMやサプライヤーは将来のコネクテッドカーのセキュリティを改善・向上することが可能となる。 本セッションではこういった自動車のトレンド、コネクテッドカーに関する無線通信のリスク、セキュリティに関連する規格やガイドラインとソフトウェア開発ライフサイクルの各段階でどのようなセキュリティへの取り組みを行うべきかを解説する。