本セミナーでは、機械学習を活用した材料開発事例について解説いたします。
(2018年11月14日 10:00〜11:30)
材料開発においてはそれらの性能評価のために多くの時間が必要となり、開発速度を律速する原因となっている。性能に関しては理論的な考察に基づく理論式や、多くの実験結果から得られた経験則が提案されているものの、構造材料においては組織と性能には強い非線形性がありその関係性は必ずしも明確ではない。したがって、性能予測がある程度の精度で可能となることは材料開発において非常に意義がある。一方、近年のコンピューティングの飛躍的な発達により、種々のマルチスケールでの計算手法を組み合わせることが可能となってきている。構造材料の組織と時間依存の性能の予測を、理論や経験則、数値計算、データベース構築、データ駆動型アプローチなどの融合により可能とするマテリアルズインテグレーション (MI) システムについて紹介する。
(2018年11月14日 12:10〜13:40)
AI囲碁 (AlphaGo) やAI将棋 (Ponanza) 等によるAIブームの影響から、材料開発の分野でもAI技術を用いた取り組みが盛んに行われている。囲碁や将棋などでは、AIが人類を超越した存在になっているが、材料開発の分野では解くべき問題が複雑であるため、AI技術さえあればよいという状況には至っていない。そのため、材料開発では『AIと科学者の協創』が非常に重要となる。本講演では、材料開発を行う人間を強力にアシストすることができるAI技術 (機械学習技術) を紹介し、その実際の応用事例を交えて講演する。
(2018年11月14日 13:50〜15:20)
「マテリアルズ・インフォマティックス」を用いたリチウムイオン電池材料、特に正極材料の開発について解説いたします。講師は、マテリアルズ・インフォマティックスを使用して日々、リチウムイオン電池の新規正極材料の探索をしており、その研究現場的視点から活用事例を紹介したいと思います。従いまして、マテリアルズ・インフォマティックスを使った経験がない受講者の方であっても、非常に具体的に材料開発への活用イメージを持っていただけると思います。また、マテリアルズ・インフォマティックスを活用するうえで必須とされるのが、計算化学 (第一原理計算) 、人工知能、そしてPython言語と言えます。本講座の前半では、これらが専門でない受講者の方を想定いたしまして、簡単に概要を述べたいと思います。
(2018年11月14日 15:30〜17:00)
「特性を予測、推定する」ということに関して、機械学習を使った様々な手法を相互比較しながら紹介する。材料研究者による機械学習を取り入れた講義であり、材料研究者が機械学習を学習する際のハードルをできるだけ低くなるようにその要点を簡潔明瞭に説明する。