第1部 摩擦・摩耗のメカニズムと高分子材料の特徴
(2018年10月23日 10:00〜11:30)
摩擦・摩耗の基本メカニズムは主に金属材料に対して解明されてきており、高分子材料のメカニズムもそれに従う部分があるが、金属材料と異なる高分子材料の性質が顕著に表れるメカニズムもあるので、まず材料共通の摩擦・摩耗の基本メカニズムを解説し、その次に高分子材料特有の摩擦・摩耗のメカニズムを解説する。
- トライボロジーの概要
- トライボロジー用語誕生の経緯と定義
- トライボロジーの関係事象
- 機械の3大トラブルとトライボロジー
- 自動車のトライボ要素
- 凝着摩擦のメカニズム
- 接触の定義
- アモントン・クーロンの摩擦法則のメカニズム
- 硬さの概念
- Taborの凝着摩擦理論
- 固体潤滑のメカニズム
- 摩擦係数とすべり速度の関係
- 転がり摩擦のメカニズムと高分子材料の摩擦の特徴
- 転がり摩擦とトラクション
- 転がり摩擦のメカニズム
- 粘弾性体の転がり摩擦
- 高分子材料のすべり摩擦の特徴
- 凝着摩耗のメカニズム
- 凝着と移着
- Holm の法則とArchard の法則
- 摩耗のモード遷移と焼付き
- アブレッシブ摩擦・摩耗
- アブレッシブ摩耗のタイプとモード
- アブレッシブ摩擦
- 高分子材料の摩耗の特徴
第2部 トライボロジー特性向上のための表面テクスチャリング技術
(2018年10月23日 12:10〜13:40)
表面に微細な構造を施すことにより、新たな機能を付与する表面テクスチャ技術は、マルチスケールという概念によって特にトライボロジー分野においては次なる展開が期待されている。
すなわち、ナノからマイクロ、マクロスケールの連続する階層的構造の複合化は、特にソフトマターのトライボロジーにおいては重要な鍵を握るものでと考える。
- 表面テクスチャリングによる機能発現
- 表面の基礎
- 表面性状
- 表面機能発現メカニズム
- 表面テクスチャ創製プロセス技術
- 表面改質技術としての表面テクスチャリング
- トライボロジー特性の向上
- 表面テクスチャによる特性向上メカニズム
- マルチスケール・テクスチャリング
- 事例紹介
第3部 RBセラミックス粒子の充てんによる樹脂材料の低摩擦・低摩耗化
(2018年10月23日 13:50〜15:20)
通常よく用いられている繊維系充てん剤や粒子系充てん剤と比較して、RBセラミックス粒子を充てんすることにより、強度の向上は認められないものの、樹脂のトライボロジー特性を飛躍的に向上させることが可能である。特に、水中におけるトライボロジー特性の向上が顕著である。
- 米ぬかを原料とする硬質多孔性炭素材料「RBセラミックス」の開発
- RBセラミックスの高機能・多機能材料としての特徴と応用
- RBセラミックス粒子を配合した樹脂複合材料の開発とそのトライボロジー特性
- 各種樹脂材料にRBセラミックス粒子を配合した複合材料
- 粒径、充填率の異なるRBセラミックス粒子をPA66樹脂に配合した複合材料
- 他の充填剤とRBセラミックス粒子の比較
- RBセラミックス粒子配合複合材料の水潤滑下におけるトライボロジー特性
第4部 分子シミュレーションのトライボロジーへの応用
(2018年10月23日 15:30〜17:00)
トライボロジーの分子シミュレーションは、近年、産業応用に関して実用段階に入っています。これは、大型計算機の入手が容易になったことと、比較的簡便に使えるソフトウェアの出現によります。本講座では、扱いやすい系から最先端の解析までを紹介します。
- はじめに
- 接触問題と摩擦のシミュレーションについて
- 流体潤滑
- 最もシンプルなモデリング
- トラクションフルードの分子動力学
- 弾性流体潤滑、界面すべり
- 分子モデルの粗視化
- 境界潤滑
- 複雑な系の例としての軟骨
- 長距離クーロン系の新規計算手法
- 有機系単分子膜の潤滑
- 固体潤滑
- グラファイトの摩擦機構解析
- 化学反応を含む YSZ – DLC系の解析