本セミナーでは、セルロースナノクリスタルについて基礎から解説し、表面修飾による分散安定化、配向制御など応用に向けた要素技術について詳説いたします。
(2018年10月29日 10:30~12:00)
セルロースナノクリスタル (CNC) は、天然セルロースを酸加水分解することにより得られる剛直棒状コロイド粒子であり、セルロースの結晶性や低比重、低熱膨張性、高強度、高弾性などの多くの特徴を有する機能性粒子である。さらに、表面水酸基に種々の官能基を導入することにより、分散安定性、粘性、液晶系性能、発光性能などを制御することが可能である。 本講演では、セルロースおよびCNCの基礎的な解説から、それらの懸濁液の物性、特に水懸濁液の粘性や液晶形成能の変化について解説する。コロイドの分散安定化の手法として重要な、静電安定化および立体安定化のメカニズムと、CNCにおける実例について解説する。続いて、CNCの材料科学分野における応用例、とくに補強材としての利用や繊維材料の形成について紹介する。 また、近年当研究室で開発し上市した、未修飾かつ添加剤不使用でありながら再分散性をいちじるしく向上した新規な完全乾燥微粉末CNCについても紹介する。
(2018年10月29日 13:00〜14:40)
材料化学分野全般に渡ってナノマテリアルに関する研究が盛んである。セルロース分野でもしかりである。セルロースナノクリスタル (CNC) とは、セルロース繊維を酸加水分解処理して得られる高アスペクト比の結晶性“棒状微粒子” (例:5-10 nm径、100-300 nm長) である。物理化学的な基礎物性への興味もさることながら、剛性ロッド形体を活かしたナノフィラー・メゾフィラーとしての応用性が高い。本講座では、CNCの調製法、特性、および新規複合材料への応用展開について、最近の事例をまじえて平易に解説する。
(2018年10月29日 14:50〜15:50)
熊本で開発されたセルロース等を用いた材料の紹介を行い、共同研究のきっかけの場としたい。