二次元から四次元を作りだすという意味で折り紙は生命操作と類似し、そこに潜むポテンシャルは非常に高い。研ぎ澄まされた日本人の感性は圧倒的に優れた折り紙を創作してきている。折り紙には軽くて強い、展開収縮できるという魅力的な特性を有すものの産業応用されたのは宇宙産業程度であった。この魅力的な特性を維持したまま有用な構造体を造るには、計算科学、ロボット工学などの援用が必要となる。一旦、このような援用により扉が開かれ始めると滝のように新しい産業の輩出が期待される。今はその勃興期であり、大きな未来が待っている。このようなことを具体例をもって紹介する。
- はじめに
- 日本の「ものづくり」は、2Dから4Dを創発し循環させる日常の習慣と「つくることで理解する」という科学観とによって培われてきた。これに対する折り紙の貢献について述べる。
- 折り紙の歴史
- 日本の折り紙の特徴。何故日本だけ特殊なのか。日本にだけ礼法折紙があるのはなぜか、などについて述べる。
- 近代の折り紙
- 近代折り紙における創作法
- 折り紙の設計図
- 折り紙の設計ソフト
- 折紙設計とリバースエンジニアリング
- 折紙設計システムで見つかった2次元パターン
- 折紙を折る折紙ロボット
- 金属素材も折れる、折紙式プリンター
- 折紙工学
- 折紙工学誕生の経緯
- ハニカムコアの発明
- バイオミメティクス折り紙① – 昆虫に学ぶ -
- バイオミメティクス折り紙② – 植物に学ぶ -
- 折紙の数理を用いたデザイン
- 三角錐の連なったオクテットトラスコア
- 折り紙の産業化の課題と克服
- 折紙工学の産業化を阻む4つの課題
- 宇宙産業への応用
- 金属製オクテットトラスコアの成形法/産業への応用
- 折り畳み式ヘルメットへの応用
- 折り紙は優秀なエネルギー吸収材
- 高い機能と安価な製造が可能、反転捩り折紙構造体
- 折り紙の力 – 産業応用への広がり -
- 建築産業への応用
- 医療への応用
- 防振器への応用
- 飲料器への応用
- 厚板箱への応用
- 自己折り
- 折紙工学の将来
- 計測技術の著しい発展により科学の興味は宇宙のような広大なものから、細胞など超ミクロな世界に広がっている。
ここで唯一役立つのは自己組織化製造法であり折紙工学が未来を切り開く