本セミナーでは、ヒトの3次元知覚特性のメカニズムから映像酔いの要因と対策、評価手法から国際標準化の動向まで解説いたします。
~3次元知覚を実現する脳の情報処理メカニズムとその特性~
(2018年10月16日 10:30〜12:30)
VR技術の発展とともに、VR映像を鑑賞するためのヘッドマウントディスプレイが話題に上ることが多くなった。ヘッドマウントディスプレイは、左右の目に少し視点の異なる映像を投影することで鑑賞者に豊かな3D (3次元、立体) 体験を提供できる手軽な映像呈示装置として注目を集めている。ここで、私たちは普段、特別な努力をしなくとも当然のようにものを立体的に見ることができるため、3D映像技術の開発はデバイスの小型化や低価格化のみがボトルネックであり、立体視の理論自体は単純であると思われるかもしれない。しかし、ヒトがなぜ世界を立体的に知覚できるのか、その詳細な脳の情報処理メカニズムはまだ解明されておらず、映像呈示装置の仕組みは必ずしもヒトの脳の処理に合わせて最適化されていないのが実情である。例えば、ヘッドマウントディスプレイ着用時に感じる「3D疲れ」や「映像酔い」などの問題について、脳内の情報処理の知見に基づいた具体的な解決案はほとんど提案されていない。 こうした現状を受けて、本講演では、映像酔いのメカニズムに迫る前提知識として、ヒトがなぜ3Dを見ることができるのかをfMRI (磁気共鳴映像法) などの脳機能イメージング法によって調べた最新の研究を紹介しながら、3D視に関わる脳内情報処理過程と3D知覚特性について概説する。
(2018年10月16日 13:45〜14:45)
(2018年10月16日 15:00〜17:00)
現在、注目されているVR環境ですが、場合によってはVR酔いと言われる乗り物酔いのような症状が現れることがあり、これをできるだけ軽減することが、優れたVR技術の発展のために必要不可欠である。 本講座では、そのためにどのような対策が考えられるか、原因仮説や生体影響計測手法にも立ち返りつつ、関連する映像酔いの人間工学的指針の考え方を併せて紹介し、指針の今後の国際標準化の動向含めて解説する。