第1部 NCA正極材の開発と粒径制御
(2018年9月21日 10:30~12:10)
リチウムイオン二次電池は小型電子機器を中心に普及し、現在もxEVへの採用が広がる等、その用途は拡大し続けている。また各アプリケーションの高度化が進むと同時に電池に求められる性能は年々高まり、それらを支える材料開発も活発に行われている。近年NCA正極材料は、その高いエネルギー密度からリチウムイオン二次電池の高度化を支える正極材として注目が高まっている。
これまでNCA正極材料を開発してきた経験の中から、特に粒子径に関する検討について紹介する。
- NCA正極材の合成プロセス
- 各工程における粒子径の制御
- 共沈水酸化物合成プロセス
- 水酸化Li混合プロセス
- 焼成工程
- 粒子径と粉体特性
- 粒子径と電池特性
- 粒子径とスラリー特性
第2部 二、三元系リチウムイオン高容量正極材の開発とバインダーの要求特性、選定と活用
(2018年9月21日 13:00〜14:40)
- (正極材) 1991年に始まるリチウムイオン電池の開発と進歩は、正極材の開発の歴史でもあった。2018年現在、エネルギー (容量) 、パワー (出力) とサイクル (寿命) など、性能レベルへの高い要求は未だ満たされたとは言えない。その要は正極材の容量Ah/kgと放電電圧V、エネルギーとしてのWh (=Ah×V) である。 安全性、電池のコスト更にはCoなど元素資源の問題についても。正極材は最も厳しい要求を突きつけられている。本講では概ねこの15年の正極材の開発の経緯と、最近の高容量系正極材の研究の経緯を紹介する。EVなど大型用途における正極材の選定は、ほぼ2,3の候補に狭まったとも見えるが、これでEV1,000万台、80GWhの電池を賄えるのか。真に世代交代的な正極材への期待は尽きない。
- (バインダーと電極板) 正極材は電池 (セル) の電極板にして始めて機能する。現行の湿式の電極板製造プロセスにおいては、バインダー (接着・結着剤) が不可欠である。しかしながら、複雑な化学組成と結晶構造の高性能正極材を、湿式でプロセスする際には多くの不合理点が存在する。測定や計算通りに行かないバインダー等の問題は、経験技術やノウハウの蓄積となるが、本講では実例を多く紹介して問題解決への道筋を示したい。
- リチウムイオン電池の基本3特性
- 正極材の特性と選択 (1)
- 正極材の特性と選択 (2)
- 多元系正極材の化学組成
- 新規負極材の特性と選択
- リチウムイオン電池 (セル) 製造の概略
- 製造におけるバインダーの課題と解決
- EVの今後の生産と電池総GWh、正負極材Tonの試算
第3部 ニッケル系正極材の特性改善を目指した材料改質技術
(2018年9月21日 14:50〜16:30)
ニッケル系正極は、EV用電池用途に、重要性が高まっており、さらなる高ニッケル化、 高充電圧化が求められている。これらの実現に必須な技術として、材料改質技術がある。本稿では、この材料改質技術を、①形状改質技術、②バルク改質技術、③表面改質技術、そして、これらを複合化した④複合改質技術に分け、これらについて解説する。
- はじめに
- 形状改質
- 粒形制御、単結晶化
- バルク改質
- 元素置換
- コアシェル・濃度傾斜型
- 表面改質
- Li塩被覆
- 金属酸化物被覆
- 金属非酸化物被覆
- その他表面処理
- 複合改質
- まとめ