本セミナーでは、高いイオン伝導特性を示す界面構造と全固体リチウム電池の開発設計指針について解説いたします。
(2018年9月28日 10:00〜11:30)
固体電解質を利用した全固体電池の開発が進められている。全固体電池と液系電池の 大きな違いは、リチウムイオンが電解質と電極の固体/固体界面を移動すること であり、全固体電池の実用化のためには電解質/電極界面の抵抗低減が急務となって いる。電解質/電極界面のイオン伝導特性は、電解質と電極の材料の組み合わせだけ ではなく、その界面の形成プロセスに強く依存する。高いイオン伝導特性を示す界 面構造ならびに全固体リチウム電池の開発設計指針について解説する。 全固体電池、特に界面を研究する手法のひとつとして、真空技術、薄膜合成技術、 表面界面評価技術を活用した界面科学の基礎知識、方法論を学ぶ。また、薄膜型全 固体電池の作製とその電気化学評価、構造解析例について知識を得ることができる。
(2018年9月28日 12:10〜13:40)
固体電解質を用いた全固体電池に対する期待の一つとして、金属リチウム負極の 使用が挙げられる。 本講座では、金属リチウム負極を用いた全固体電池の構築、 評価法、課題について解説する。
(2018年9月28日 13:50〜15:20)
X線光電子分光法について、全固体電池を中心に電池材料の測定例を紹介し、正しい情報を得るために、測定する上で気を付けなければいけない点などについて紹介する。また、硬X線光電子分光法についても紹介する。
(2018年9月28日 15:30〜17:00)
電解液をイオン伝導性固体に置き換えた全固体電池が、充放電の安定性や長寿命性を革新的に向上させる次世代電池として精力的に研究開発が行われている。一方で全固体電池中の固体電解質と正極材料の間に形成される「界面相」に起因するLiイオンの大きな伝導抵抗が電池の出力低下等の問題を生じさせている。この界面相における抵抗増加の発生メカニズムは動作中の電池内部の状態が複雑であり、直接観測が難しいため種々の仮説が提案されてはいるが、未だに共通の理解が得られていない状況である。第一原理計算は、そのような観測が難しい系に対して知見を得る有力なツールである。 本講演では第一原理計算の入門的な解説を行い、さらにその応用として全固体電池の電極・電解質の界面での微視的な構造や電子状態を第一原理計算によって解析した結果を紹介する。特に界面相に出来るLi伝導抵抗相の形成の有無、活物質に対する酸化物をコートの効果に関して、理論計算から得られた結果からの考察を紹介する。