内燃機関は更なる電動化が進んでも、自動車 (バス・トラック・建設機械も含む) の主要な動力源である。動力源としての「熱効率の向上」は大命題であり、燃焼エネルギーの有効利用、即ち更なる損失低減が重要である。設計に資する解析モデルの開発も重要度を増す一方、その検証技術も非常に重要となっている。
ここでは熱損失と摩擦損失に関して、現在の研究動向を紹介するとともに、各種熱流束センサによる燃焼室壁面の熱損失増減の実測手法、摩擦損失の実測手法、更に、関連する計測技術 (薄膜センサ他) について独自開発したセンサや計測システムについても説明し、これら検証技術の課題についても解説を行う。
- はじめに
- エンジンの熱効率向上 (損失低減) に関する2017年〜2018年の研究動向
- 熱損失に関する基本現象
- 伝熱のメカニズム
- 熱伝導・熱伝達・熱放射の基本現象
- エンジンの熱損失に関する基本現象
- トライボロジーに関する基本現象
- 摩擦の基本現象
- 摩耗の基本現象
- 焼付きの基本現象
- 潤滑油の種類と役割
- エンジンの摺動面に起こる基本事象
- 熱損失に関する現象とこれを“はかる”薄膜センサ技術
- 燃焼室壁面の瞬時温度測定の事例 (計測実例の経緯)
- 熱流束センサの種類と計測システムの留意点
- センサの設置方法の事例
- 熱流束評価の留意点
- 摩擦損失・トライボロジー現象とこれを “はかる” 技術
- ピストン・ピストンリングーシリンダ系 (実機実働中の摩擦評価)
- クランクー軸受系 (摩擦・焼き付き)
- 摩耗性状・焼付き現象の計測事例
- 焼付きリスクも見据えた摺動面の計測と課題
- エンジン及び各種機械要素部品への薄膜センサの開発手法とその適用事例
- 製作装置
- 設計手法
- 計測システム
- 校正方法や留意点
- 熱損失及び摩擦損失低減のための課題