量子ビーム (放射線) は物質・材料の広い空間スケールからナノスケールの領域に高いエネルギーを与えることから、バルク材料の均一改質や超微細加工など、熱や光では実現できないまで幅広い応用が期待されている。本講演では、機能材料創製・解析などの基礎科学から産業応用まで幅広く利用されている量子ビームとして、電子線 (EB) 、イオン線、X線、γ線、中性子線を中心に、有機・高分子機能材料創製への適用を解説する。 量子ビームの基礎として、特徴的なエネルギーや空間分布などを種類ごとに分類し、それぞれの物質に与える影響 (照射効果) を理解することで、どのような観点で機能材料の研究開発に適用するかを示す。応用として、高エネルギーEB、γ線では、エンプラなどの固体高分子を一括して機能化できるグラフト重合による、二次電池、燃料電池用の高分子電解質膜の創製技術を、低エネルギーEBでは、架橋反応を利用したEB硬化技術を紹介する。更に、X線、中性子散乱を用いた構造・機能解析技術、および、EB、軟X線 (EUV) による次世代リソグラフィー技術とそのレジスト材料について詳細に解説する。