本セミナーでは、地中熱を利用した空調・給湯システムの基礎から解説し、掘削、機器の設計、地中熱を取り巻く市場・政策動向について詳解いたします。
東日本大震災とそれに伴う原発事故を受けて、我が国のエネルギー政策の見直しが始まっています。 再生可能な自然エネルギーがこれからの日本のエネルギーを担う1つの柱として注目を集めていますが、地中熱は日本中どこでも安定的に利用できる自然エネルギーです。 地中熱は昨年改訂されたエネルギー基本計画に初めて取り上げられましたが、まだ国民の皆様に十分認知されている状況ではありません。 環境性に優れた自然エネルギーである地中熱を、活用していただけるよう、地中熱利用冷暖房・給湯システムの現状と参入余地について説明させて頂きます。
省エネルギー技術のひとつである地中熱利用システムは、比較的浅部 (深度50~100 m 程度) の地中に賦存している熱エネルギーを冷暖房や融雪等に利用する技術である。 従来の地中熱利用システムの研究では、システムの技術開発や影響評価に重点が置かれており、立地条件の評価や検討手法に関する研究例は少ない。日本における地中熱利用システムの普及を考えた場合、掘削費等の導入コストを下げ、システム効率の向上が重要であり、そのためには地域毎の地中熱利用システムに関わる地下情報をまとめる必要がある。 本セミナーでは、現地調査、三次元地下水流動・熱輸送解析、地理情報システム (GIS) 、熱交換井モデルを用いた地中熱利用における適地評価と採熱可能量の予測手法について述べる。
エネルギー消費量やCO2の大幅削減のためには、機器の効率向上だけは限界があり、熱源サイドにおいて再生可能エネルギー利用への転換を図らなければなりません。最も現実的で効果が高いのは高効率ヒートポンプと蓄熱の導入であると言えます。 地中熱は、欧米では既に再生可能エネルギーと認知されており、蓄熱利用に加え、熱源としての安定性や利用場所の普遍性からドイツ以北の欧州や北米ではヒートポンプの熱源として利用が大きく進んでいます。 我が国では導入件数は未だ数百のオーダーですが、2009年8月に施行されたエネルギー供給構造高度化法の施行令において太陽光や風力と並び、ヒートポンプが利用する空気熱、地中熱、水熱 (海水熱や河川水熱など) が、初めて法令により再生可能エネルギー源として定義され、これを契機として、国としても地中熱利用の導入・普及拡大に支援策を講じてきています。 本講演では、まず地中熱利用システムついて概説した後、地中熱ヒートポンプシステムの計画・設計・施工方法の実際について解説します。特に、計画・設計で必要となる重要なパラメーターの一つであるTRT (熱応答試験) の実施方法と解析方法、評価方法についても丁寧に説明します。 また、実際の現場作業で必要となる施工のポイントや省力化・省コスト化についても紹介します。 最後に、省エネルギー性と環境性の評価方法と各種導入支援制度について解説した後、演者がコミッショニングに参画している地中熱利用システムについて、エネルギー計測方法の実際からはじまり実測データの収集、省エネルギー性と環境性など導入効果の結果などを紹介します。