構造物の動的な設計や振動対策を適切に行うには、振動の「本質」を十分に理解しておく必要があります。単に、「振動の計算ができる」ということが重要ではありません。振動挙動をどのように捉え、そして、そこで起こっている動的現象の「本質」は何かを考えられるようになることが重要です。
(1) 振動現象を大きく支配する外力 (加振力) 、 (2) 振動系を構成する質量、ばね、減衰が振動応答およぼす影響、 (3) エネルギー流れから捉える共振現象、 (4) 低振動化のための「高減衰設計」「高剛性設計」といった項目を、事例を紹介しながら分かりやすく解説します。
- はじめに
- 一自由度振動系の強制振動 【少し復習します】
- 時刻歴波形と共振曲線
- 力による強制振動・変位による強制振動
- 振動の評価量
- 振動を支配する「外力」を理解する 【本講座の重点項目です】
- 外力と振動応答の関係
- 応答から外力を「推定」する
- 周波数分析の観点から考える
- 外力の種類と応答
- 正弦波
- ひずみ波
- 不規則波
- 各種機械要素・装置における外力
- 軸受け
- 歯車
- 空調機など
- 振動低減のために「何を変更・改善」すべきか 【振動低減の基本を理解します】
- 外力を小さくすることができればよいのだが
- ばね支配・減衰器支配・質量支配
- 「共振」をエネルギー流れの観点から捉える 【現象の本質を理解します】
- エネルギー的な観点から見直してみる
- 外力がなす仕事とダンパによって消散されるエネルギー
- 共振は外力がもっとも効率良く仕事をなした結果起こる現象
- 減衰による振動低減の物理的意味
- 「高減衰設計」を理解する 【振動低減の具体化です】
- 振動エネルギーをダンパに「流す」
- 固有振動モードから有効な制振方法を考える
- 板の曲げ振動を抑える制振材貼り付けの考え方
- 「高剛性設計」を理解する 【振動低減の具体化です】
- 構造設計の基本となる「力の流れ」とは何か
- 「力の流れ」を読む・適用する
- リブ構造の例