第1部 リチウムイオン電池の発熱反応と 高容量・高出力化に向けた安全化技術
(2018年8月21日 10:00〜12:00)
リチウムイオン電池は、その優れた特徴により民生用分野において需要が拡大して おり、さらに、高エネルギー化、 高性能化の進展とともに各種電気自動車 (xEV) や電力貯蔵の基盤技術として社会イ ンフラ構築にも欠かせないものとなってきた。 その一方、高エネルギー化に伴って、誤使用時など正常なプロセスから外れた場合に発熱や安全弁作動、さらには極めてまれなケースではあるが発火に至る事故が見られるようになった。リチウムイオン電池の応用分野が拡大するに伴い、電池の使用条件・ 使用環境は多岐にわたり、安全化技術の高度化がますます重要となっている。
本講演ではリチウムイオン電池の安全化技術という視点から、電池における種々の発熱要因、リチウムイオン電池材料・部品と 安全機構、電池内部の自己発熱反応メカニズムと安全化施策等について解説する。
- リチウムイオン電池の市場と課題
- リチウムイオン電池の発熱要因と安全化機構
- 電池内部の自己発熱反応
- 正・負極、電解液の発熱挙動
- 電池誤使用時の発熱要因
- 現行電池の主な安全機構
- 高容量化・高出力化に必須な安全化技術
- 過充電時の発熱反応解析と対策
- 過充電時の電圧変化・発熱挙動
- 過充電過程で発生するガス
- 過充電反応解析
- 過充電耐性の向上
- 内部短絡時の発熱反応解析
- 内部短絡が原因の事故例
- 内部短絡時の発熱挙動解析
- 内部短絡制御技術
- LTO (チタン酸リチウム) 系電池の安全化技術
- 今後の展望
第2部 リチウムイオン電池の安全設計に必要な 電池発熱のメカニズムおよび評価法
(2018年8月21日 12:40〜14:00)
電池は化学エネルギーを電気エネルギーに変換する素子であるが、そのエネルギー変換過程において熱エネルギーの出入りを伴い電池の温度が変化する。リチウムイオン電池はエネルギー密度が高いこと、そして可燃性の有機電解液を使用していること等のため、事故や誤使用によって温度が著しく上昇した場合、熱暴走に至る可能性も考えられ、安全性確保への配慮が需要である。またそのような高温には至らずとも、高温条件は電池の劣化を加速するため、電池の使用に当たっては適切な熱設計を行うことが重要である。
本講演では、リチウムイオン電池を充放電した時に起きる発熱のメカニズムを概説する他、発熱の計測方法を解説する。また誤使用の事例として、過充電を行った際の電池の発熱挙動について解析した結果も紹介する。
- 電池の熱問題
- 熱暴走
- 高温における劣化加速
- 電池の熱力学
- 電池反応熱
- 分極発熱
- 副反応
- 充放電時の発熱挙動
- 熱測定による発熱測定
- 活物質の相変化と熱挙動
- 充放電電圧のヒステリシスと特異的な発熱挙動
- 交流印加時の発熱挙動
- 過充電時の発熱挙動
- 発熱挙動解析
- 過充電時の反応解析
- 今後の展望
第3部 リチウムイオン電池おける 低温環境下による機能低下と安全性
(2018年8月21日 14:10〜15:30)
- 低温環境下による機能低下を知るには
- リチウムイオン電池の信頼性評価・劣化解析概要
- 寿命予測 (√則の課題)
- 劣化の時間依存性解析と劣化メカニズム
- 環境による2つの劣化メカニズム (低温環境下における機能低下)
- より長く、そして、安全にリチウムイオン電池を使うには
- 最近の事例から見る信頼性、安全性
- 二次劣化
- 反応偏在
- 低温における機能低下の怖さ (見えにくい劣化、安全性影響)
- 電極面内反応均一性シミュレーション
- 電極断面反応均一性評価
- 限界負荷試験 (低温環境下における機能低下可能性を予測)
- センシング、制御への期待
- 安全性、信頼性の観点から今後の開発ポイント
第4部 低・高温環境下におけるLIBの機能低下とその対策、評価
(2018年8月21日 15:40〜17:00)
- 次世代自動車の開発動向
- 車載用蓄電デバイスの使い方とマネージメント
- 電動車と蓄電デバイス
- 車種ごとに異なる使い方 (EV)
- 車種ごとに異なる使い方 (HEV)
- 車種ごとに異なる使い方 (PEV)
- 電池劣化の車両への影響
- EV用二次電池の評価について
- リチウムイオン電池の性能試験・評価の標準化
- 安全性評価に関する標準化動向
- 安全性試験の規格
- ハザードレベル (EUCARほか)
- リチウムイオン電池における温度管理の重要性について
- 高温時の性能劣化
- 急速充電への対応と充電を効率化するための温度管理の必要性
- 低温環境下における電池性能低下の問題点
- 電池の温度調節機能の可能性