Atomic Layer Deposition (ALD、原子層堆積法) による薄膜合成は、ナノメートルレベルでの膜厚制御性、膜厚均一性などから、ULSIゲート酸化膜形成、メモリキャパシタ形成などに応用展開されている技術です。しかし、そのプロセスは、原料の供給、パージ、反応性ガスの供給、パージなどからなり、各段階での条件設定は、これまでの類似手法であるChemical Vapor Deposition (CVD、気相薄膜形成法) と比較して、かなり複雑であり、速度論の基礎的知識なしには容易に最適化を達成できません。
このため、本講座では、第1部で各種の薄膜作成の基礎を概説、第2部でALDの基礎知識として、CVDの速度論から説明を行い、CVD/ALDプロセスの開発・解析能力を養うことを目標とします。また、第3部ではALDプロセスの理想と実際について、原理およびメカニズムから詳しく解説を行い、新たにALDプロセス開発・製品応用に関わる方の一助となるよう配慮した講義を行います。
- 第1部 薄膜作成の基礎
- 薄膜作製プロセス概論
- 薄膜の種類と用途:ULSI,MEMS,太陽電池,LED/LD
- ウェットプロセスとドライプロセス,PVDとCVD
- CVDプロセスの特徴
- 半導体デバイス,高集積化・微細化とALD技術
- 真空の基礎知識と薄膜形成の基礎
- 真空蒸着
- 真空度・真空の質,平均自由行程
- 各種PVD技術
- CVD/ALDプロセス概論
- CVDプロセスの原理と特徴,応用例
- ALDプロセスの原理と歴史的展開
- ALDプロセスの特徴と応用・発展
- ALEtプロセスの原理と特徴
- 第2部 ALD/CVD反応機構と速度論
- ALDの基礎としてのCVDプロセス入門
- CVDプロセスの素課程
- CVDプロセスの速度論
- 製膜速度の温度依存性,表面反応律速と拡散律速
- 製膜速度の濃度依存性,1次反応とラングミュア・ヒンシェルウッド型反応
- CVDプロセスの均一性
- 表面・気相の反応機構解析入門
- 素反応機構と総括反応機構
- 気相反応の第一原理計算と精度
- 表面反応機構の量子化学的検討と実験的解析
- 第3部 ALDプロセスの基礎と展開
- ALDプロセスの基礎
- ALDプロセスの基礎理論と製膜特性
- ALDプロセスの理想と現実
- ALDプロセスの展開と応用
- ALDプロセスの応用用途
- ALDプロセスの解析手法と最適化
- HW-ALDによる高品質Ni薄膜の合成
- ALD-Co (W) /CVD-Cu (Mn) による高信頼性ULSI配線形成
- まとめ
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