本セミナーでは、自動車用エアコン、産業用冷凍・冷蔵機器など、様々な用途で使われる低GWP冷媒の開発・採用動向を解説いたします。
現在、冷凍・空調に使用されている冷媒は1930年に発明されたフロンガスである。 フロンガスは高効率で不燃性であり毒性もなく経済性も優れていて、冷媒として正に理想的な特性を持っているこれは20世紀になって発明された最も優れた化学物質の一つであるといっても過言ではない。しかし、理想的な冷媒として大量に使用されてきたフロンも、1974年にカリフォルニア大学のローランド教授によって大気中に排出されてオゾン層を破壊するのではないかと言う説が発表され、社会的に大きな問題となったのである。 当初のフロンはCFC、HCFC が使用されていたが、オゾン層を破壊するという理由から1987年のモントリオール条約でこれらのフロンの段階的な生産規制が決定した。これに対応するために、わが国の業界では代替フロン (HFC) の開発に力を注ぎ、世界に先がけて転換を図ってきた結果、現在では新規生産の冷凍空調機器のほぼ100%が転換を終了している。 しかしながら、この代替フロンも近年の地球温暖化問題では温暖化影響の大きな物質として、今度は京都議定書によって、排出の削減が義務づけられることとなった。冷媒の問題は業界にとって極めて重要な課題であり、HFCに代わる次世代の新冷媒や自然冷媒の開発も進められてきたが、現在のところ一部の機器を除いてこのHFCに代替できる冷媒の実用化の目途は立っていないのが現状である。 これらの開発の現状と将来の展望について、欧州のFガス規制の動向も踏まえて講演したいと思う。
近年、カーエアコン用新冷媒 HFO-1234yf や冷凍機用冷媒 HFO-1234ze (E) などのオレフィン系炭化水素が低GWP新冷媒として注目を浴びている。しかし、この冷媒の特性は十分には知られておらず、混合冷媒を含めて未知なる点が多い。 本セミナーでは、現時点で解明されている新冷媒の特性について報告し、今後の研究動向を探ってみる。
温室効果ガスの排出を大幅に削減するためには、化石燃料である一次エネルギーから電力や水素などの二次エネルギーへ、さらには再生可能エネルギーへとシフトしていく必要がある。 それにはヒートポンプに代表される冷却・加熱技術が有効であるが、一般的なヒートポンプは地球温暖化係数がCO2の数千倍もあるフロンガスを冷媒として用いており、逆に温室効果ガスを増大させる可能性もある。 産業部門においては、アンモニア、二酸化炭素、炭化水素系、水、空気等の自然冷媒を用いた冷凍機・ヒートポンプが開発され、既に多くの納入実績がある。 本セミナーでは、冷媒の規制状況、環境影響について解説し、マイナス100℃~プラス100℃以上までの冷却・加熱を自然冷媒にて実現する技術について、その概要と開発事例を紹介する。
地球温暖化対策の一環として自動車冷房用の冷媒に対しても より地球温暖化係数の小さな冷媒が求められており既に欧州では、2011年1月より現行冷媒のR134aの規制が始まった。 このような動きの中で、次世代冷媒に求められる要件を提案する。