(2018年9月14日 10:00〜12:00)
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版は、小児から成人まですべての重症度を対象に国内外の新知見を加えて作成された。基本的な治療法から重症かつ難治性の治療法に至るまで記載しており、スタンダードな治療法として日常診療で役立っている。今回新たに加えられた知見をいくつか紹介するとともに、現状の治療法の問題点を列挙していく。今年に入って国内では10年ぶりとなる新しい治療薬デュピクセント (生物学的製剤) が発売になった。投与開始16週のEASI – 75は51%と高い有効性を示している。さらに新規の生物学的製剤ネモリズマブの治験が当大学においても開始されており、短期間の有用性を報告したい。とくに睡眠障害をきたす程の強いかゆみの治療薬として役立つものと期待している。今後新規の治療薬が順調に進行すると、近い将来重症のアトピー性皮膚炎患者を外来診療で容易にコントロールできる時代が来るかもしれない。
(2018年9月14日 12:45〜14:45)
多くのアトピー性皮膚炎患者の症状はガイドラインに則った適切な治療によって、長期間良い状態に維持され、寛解も可能である。しかしながら、国内で最初のガイドラインが作成されてから十数年を経た今でも症状が遷延し、生活の質の低下や社会生活に支障をきたしている患者が存在し、現在のアトピー性皮膚炎診療の抱える課題に直面する。本講演ではアトピー性皮膚炎診療の現状と課題に加え、新規抗体医薬に期待される役割、適用となる患者を概説し、今後の展望を総括する。
(2018年9月14日 15:15〜17:15)
2016年4月より費用対効果評価の試行的導入が始まり、現在中医協では2019年4月からの本格導入に向けた検証作業が進められています。今後の新規医薬品の薬価交渉戦略においてはこうした動向を意識した考え方を取り入れる必要があると考えられます。本講座ではアトピー性皮膚炎治療薬の医療経済評価を実施する上でのポイントを、試行的導入に関する中医協におけるこれまでの議論や最新の費用対効果評価方法の紹介も織り交ぜながら、わかりやすく解説します。