バリアフィルムの設計、開発、評価 スキルアップセミナー

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本セミナーでは、バリアフィルムの基礎から解説し、応用展開、ガスバリア性能評価、信頼性について詳解いたします。

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プログラム

第1部 バリアフイルムの基礎と応用展開 (10:30~14:15)

 ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートの様な安価な高分子バリアフイルムは、単独あるいは複合化することにより、食品毎に異なる要求を満たす包装材料として今日まで用いられてきた。  バリアという物質を通さない性質に対して、高分子は多かれ少なかれ気体や蒸気を透過させる性質を持っている。高分子フイルムの気体や水蒸気の透過性は、構成する化学構造の多様性によって最も透過性の低いものと高いものでは数桁も異なることが知られている。バリアフイルムと呼ばれている高分子フイルムは、その中のごく一部である。  さらなるバリア性の追求が行われている一方で、電子デバイス向けのバリアフイルムという新たな用途は、従来の食品包装材料に求められているバリア性能よりも液晶ディスプレー保護フイルムなどのバリア性能の低い用途でも100倍、有機EL素子の封止材であれば1000倍以上のバリア性能が要求されている。  単独の高分子フイルムでこれらの要求にこたえることは非常に困難であり、様々な手法での複合材が開発されている。柔軟性があり大きく変形可能な高分子の特徴は、要求されるバリア性能に遠く及ばなくとも基材の一部として欠かせないことも事実である。  適切な高分子材料をバリア基材として選択するために気体や水蒸気の高分子フイルムに対する透過機構を理解することは重要である。透過機構は溶解と拡散の二つの現象によって理解され、高分子フイルム内部での高分子鎖の凝集状態や高分子と低分子の相互作用がバリア性能に大きな影響を与える。  基礎的な事項として、フイックの法則や溶解-拡散現象について述べる。次にバリア材料のバリア性を評価するために様々な測定法が存在し、高分子フイルムの気体や水蒸気透過量の測定方法はJISやISOなどで規格化されている。  そして、これらの規格には最も基本的な差圧法や市販装置によく用いられる等圧法が含まれている。しかしながら、バリア性能の要求レベルが高くなるにつれ、従来の規格では測定が困難なケースが現れ、規格にとらわれない新しい測定装置が開発されている。  これらの測定を分類し、個々の特徴について述べる最後に一般的な高分子フイルムの作製法の紹介と高分子を複合化する場合のフイルムの加工法によるバリア性の向上について概説する。

  1. 包装材料としての高分子材料
  2. 高分子膜透過のメカニズム
    1. 高分子材料中の微小な孔を通しての透過
      1. 多孔膜の透過
      2. 非多孔膜の透過
        • 高分子膜中の低分子の透過機構ー溶解と拡散ー
        • 定常状態と平衡状態
        • Fickの法則
        • 差圧法を用いた気体透過実験実施例
        • 高分子膜の低分子透過性を表す様々な指標
    2. 高分子材料中の低分子の溶解
      • 様々な収着等温線
      • 溶解度係数の温度依存性と溶解性パラメーター
    3. 高分子材料中の低分子の拡散
      • 高分子の自由体積と低分子の大きさ
      • 拡散の活性化エネルギーと凝集エネルギー密度
    4. 化学構造と溶解および拡散過程との相関
    5. 気体輸送特性の温度依存性
    6. 水蒸気の特異性
  3. 膜の構造と透過性
    1. 高分子の比容と温度の関係
    2. 結晶性高分子の気体透過性
    3. フイルムの延伸と気体透過性
  4. バリア材の評価法
    1. JIS規格に準拠した水蒸気透過度の測定法
    2. JIS規格外の測定
    3. ハイバリア材料を評価する上での注意点
  5. バリアフイルムの作製法
    1. 均質膜
    2. 表面処理
    3. 有機無機複合膜
    4. アクティブバリア膜

第2部 バリアフイルムのガスバリア性評価技術と信頼性 (14:30~16:00)

~等圧法における水蒸気透過ウルトラハイバリア試験の迅速化~

世界に通じるガスバリア性評価は製品販売力を高める。
開発スピードアップは信頼性ある評価技術から得られる。
約束した品質保証の実行は最大の利益として還元される。

  1. ガスバリア性評価のいろいろな方法
    1. 機能性包装材料の試験項目
    2. 気体透過膜測定原理の分類と特長~等圧法について
  2. 等圧法の測定原理とバリア値の検証方法
    1. 水蒸気透過率の測定 重量法、赤外線法、感湿センサー法
    2. Cup法、IR法とRH法におけるバリア層の相対湿度の違い
    3. 事例によるCup法、IR法とRH法における相対湿度依存性
      • 酸素透過率の測定 クーロメトリック法
      • 炭酸ガス透過率の測定 赤外線法
  3. 水蒸気透過率 ウルトラハイバリアフイルム評価方法~等圧法について
    1. 水蒸気透過率測定方法とその推定感度
    2. 超高感度水蒸気測定装置AQUATRANの紹介
    3. AQUATRANの測定原理
    4. AQUATRANで見える世界 典型的なクラック発生現象の観察と対策
  4. バリア性評価のスピードアップ化
    1. アルミ箔システムリーク率を用いる方法 ~測定事例あり~
    2. 予備状態調節フイルムを利用する方法~測定事例あり~
    3. 高温でのテストによる方法~高温セルの紹介85℃ 85%RH~
    4. アレニウスプロットによる方法~測定事例あり~
    5. 予測曲線ソフトによる方法~測定事例あり~
    6. 等圧法におけるバリア値の検証方法
  5. フイルム測定における知っておきたいポイント
    1. テストガス透過方向による測定値の違い~測定事例あり~
    2. 測定せる塗布用グリースの種類とバリア性
    3. 測定場所大気圧のバリア性への影響
  6. 補足 : 最終製品形状での測定事例の紹介と世界のバリア性評価試験規格表

会場

東京流通センター
143-0006 東京都 大田区 平和島6-1-1
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