本セミナーでは、バリアフィルムの基礎から解説し、応用展開、ガスバリア性能評価、信頼性について詳解いたします。
ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートの様な安価な高分子バリアフイルムは、単独あるいは複合化することにより、食品毎に異なる要求を満たす包装材料として今日まで用いられてきた。 バリアという物質を通さない性質に対して、高分子は多かれ少なかれ気体や蒸気を透過させる性質を持っている。高分子フイルムの気体や水蒸気の透過性は、構成する化学構造の多様性によって最も透過性の低いものと高いものでは数桁も異なることが知られている。バリアフイルムと呼ばれている高分子フイルムは、その中のごく一部である。 さらなるバリア性の追求が行われている一方で、電子デバイス向けのバリアフイルムという新たな用途は、従来の食品包装材料に求められているバリア性能よりも液晶ディスプレー保護フイルムなどのバリア性能の低い用途でも100倍、有機EL素子の封止材であれば1000倍以上のバリア性能が要求されている。 単独の高分子フイルムでこれらの要求にこたえることは非常に困難であり、様々な手法での複合材が開発されている。柔軟性があり大きく変形可能な高分子の特徴は、要求されるバリア性能に遠く及ばなくとも基材の一部として欠かせないことも事実である。 適切な高分子材料をバリア基材として選択するために気体や水蒸気の高分子フイルムに対する透過機構を理解することは重要である。透過機構は溶解と拡散の二つの現象によって理解され、高分子フイルム内部での高分子鎖の凝集状態や高分子と低分子の相互作用がバリア性能に大きな影響を与える。 基礎的な事項として、フイックの法則や溶解-拡散現象について述べる。次にバリア材料のバリア性を評価するために様々な測定法が存在し、高分子フイルムの気体や水蒸気透過量の測定方法はJISやISOなどで規格化されている。 そして、これらの規格には最も基本的な差圧法や市販装置によく用いられる等圧法が含まれている。しかしながら、バリア性能の要求レベルが高くなるにつれ、従来の規格では測定が困難なケースが現れ、規格にとらわれない新しい測定装置が開発されている。 これらの測定を分類し、個々の特徴について述べる最後に一般的な高分子フイルムの作製法の紹介と高分子を複合化する場合のフイルムの加工法によるバリア性の向上について概説する。
~等圧法における水蒸気透過ウルトラハイバリア試験の迅速化~
世界に通じるガスバリア性評価は製品販売力を高める。
開発スピードアップは信頼性ある評価技術から得られる。
約束した品質保証の実行は最大の利益として還元される。