第1部 熱分解ガスクロマトグラフィーによる高分子の組成、構造分析
(2018年9月10日 10:30〜12:30)
まず、熱分解GCの基礎と、高分子分析への応用例を説明します。次いで、熱分解GCの応用範囲を拡張する方法として広く利用されている「反応熱分解GC」について紹介します。最初に、その方法にて用いられる多様な有機アルカリ試薬を説明し、それらによって誘起されるユニークな反応系を概説します。さらに、それらの試薬を活用した実際の高分子分析の例を紹介します。なお、講演時間を考慮して、応用例では組成解析を中心に説明します。
- 熱分解ガスクロマトグラフィーの基礎
- 熱分解GCの原理と装置構成
- 最適な熱分解および測定条件の決定方法
- 装置チェック等に活用できる標準ポリマーの紹介
- 熱分解ガスクロマトグラフィーによる高分子の組成解析
- 有効炭素数の概念を活用した解重合型ポリマーの組成解析
- 検量線法を用いたゴム試料の組成分析
- 反応熱分解ガスクロマトグラフィーの基礎
- 有機アルカリ共存下でのポリエステルの反応熱分解機構
- 様々な反応性を示す有機アルカリの紹介
- 反応熱分解ガスクロマトグラフィーによる高分子の分析
- 様々な縮合系ポリマーの組成分析
- 高分子マトリックス中の難揮発性成分の定量
- ポリマー中の残存モノマー成分の定量
- 多変量解析による反応熱分解ガスクロマトグラムのデータ解析
第2部 溶液NMRによる高分子材料の一次構造解析 ~繰り返し構造,末端基,立体規則性,組成,共重合連鎖~
(2018年9月10日 13:15〜15:15)
核磁気共鳴法 (NMR) では化学構造 (官能基の種類、隣接基など) に関する情報が得られることから、有機化合物の分析手法として広く活用されている。高分子材料においても、一次構造解析に有用で欠くことのできない分析法である。ハイスループット分析に対する需要の高まりとともに、オートサンプラーやオートチューナーなどの周辺機器が進歩したことで、誰でも簡単に様々なスペクトルを測定できるようになってきた。そのため、NMR装置のブラックボックス化が進み、測定パラメータの意味やデータ処理に関する基本を知らなくても測定できるようになってしまっている。
そこで本講では、溶液NMRによる高分子キャラクタリゼーションの基本的手法について実用的な立場から述べる。さらに、実際の分析事例も紹介する。
講演全体では、ラジカル反応を利用したポリオレフィン素材への接着親和性発現技術を取り扱います。そのため、ラジカル触媒系の選定方法や触媒系の反応特性と接着性の関係、接着性発現の考え方とラジカル反応の関係等を解説します。また、実用化に向けた接着モデル構築や自社での応用事例の解説も行います。
- 溶液NMRの基本
- NMRの原理
- NMR装置概要
- 1H NMRスペクトルの読み方
- 13C NMRスペクトルの読み方
- NMRの測定
- サンプルの調製
- 測定原理
- 測定条件の決定法
- データ処理法
- 高分子材料の一次構造解析
- 繰り返し構造
- 立体規則性
- 末端基
- 共重合組成
- 共重合連鎖
第3部 NMR法による機能性モノマーの構造解析
(2018年9月10日 15:30〜17:00)
- 機能性高分子材料:MA-g-PO
- MA-g-POとは
- グラフトMAモノマー構造解析の従来法と新規解析法
- 高感度二次元相関NMR法による末端グラフトモノマー構造の直接解析
- 高濃度溶液作成およびNMR実験条件
- 各種二次元相関NMR法による構造解析
- グラフトモノマー構造の定量的解析
- NMRパルステクニックを駆使した重合型グラフトモノマーの構造解析
- NMR実験条件
- 1H NMRスペクトル
- 13C DEPTスペクトル
- 1H-1H DQF-COSYスペクトル
- 1H T2-edited spectroscopy
- 各種グラフト構造
- 化学反応とNMR法を組合わせた超微量グラフトモノマー構造の高感度分析
- グラフトモノマーの超臨界メタノールによるメチル化反応
- メチル化グラフトモノマーの1H-NMR分析
- グラフトモノマー構造の定量限界