本セミナーでは、太陽電池シリコンウエハの洗浄技術について解説し、洗浄液の効果的な使用法、超音波洗浄について詳解いたします。
結晶シリコン太陽電池は、市販されている太陽電池の85%を占める最も重要な太陽電池である。従来は、太陽電池の製造プロセスには、洗浄技術はあまり取り入れられてこなかった。しかし、太陽電池の変換効率の向上に伴い、 洗浄技術が重要になってきている。しかし、LSIの洗浄に用いられているRCA洗浄法は高価であり、太陽電池製造に適用することは困難である。 本講演では、金属汚染の除去と共に、シリコンダングリングボンド等の欠陥準位を同時に消滅できる新規洗浄技術「欠陥消滅型半導体洗浄法」を解説する。この洗浄法では、極低濃度の洗浄液を用いて室温で洗浄可能で、その上汚染物の再付着が防止されているため、洗浄液の反復使用が可能である。金属汚染の除去と欠陥準位の消滅の2つの効果によって、シリコン太陽電池の変換効率を向上させることができる。 また、金属汚染の除去と共にシリコン表面のパッシベーションを行う方法として、硝酸酸化法を解説する。この方法では、シリコン上に低界面準位密度かつ暗電流であるリーク電流密度の低い超高性能の極薄酸化膜を形成でき、シリコン太陽電池の変換効率を向上させることができる。
超音波の液深、配置、液温などの環境条件が、どのように洗浄性に寄与するかを主にお話しする。 現有設備であまりコストをかけずに、超音波強度・均一性が増す方法やコストをかけることによって、改善する方法などを実験データを紹介しながら、理論解説する。 また、超音波の強度測定方法や超音波で発生するラジカル発生現象のモニター方法なども紹介する。