計算機を用いて視覚情報処理を実現するコンピュータビジョンは、これまで2次元画像処理を中心に開発され、さまざまな分野で実用化されてきました。最近登場した小型で高性能な個人用の携帯型3次元センサーは、コンピュータビジョンの空間認知能力を飛躍的に向上し、その応用分野を拡大できるハードウェアとして有用といえます。 本講義では、このような背景から注目を集めている3次元センサーにより得られる3次元点群データの情報処理手法について、ROS環境上でのロボットビジョンに関する基礎的なプログラム実装を目標に解説します。 前段では、3次元点群処理全般を概観し、その基本的な考え方と特長について述べます。 中段では、Point Cloud Library (PCL) が提供する各種機能とその構成、クラスライブラリの扱い方など、プログラム開発に必要な基礎知識について示します。後段では、PCLを用いた基本的なプログラムの記述例をいくつか紹介し、ROS (Robot Operat ing System) 環境上でのPCLプログラミングに関する基本技法について説明します。 本講義を受講することにより、3次元空間に関するロボットビジョン実現に有用なPCLプログラミングの基本技法が習得できます。