第1部 自分で出願できますか?
リーマンショック以降、企業の特許出願は、多額の手数料 (20~30万円) を必要とする特許事務所を使わず、自社の技術者・研究者あるいは知財部員が作成し出願する自社特許出願 (1万5000円程度) へ移行しつつあります。アベノミクスで景気が良くなったと言われる昨今でもこの状況は変わりません。第1部では、自社で特許出願する際のポイントを伝授します。
「自社で特許出願はしたけれど特許明細書の質が悪く数年後の権利化に失敗してしまった…」「自社で出願する方針に切り替えた結果、知財部員の負担が膨大に…」こんな問題を解決するポイントを解説します。
- はじめに
- 知財人材スキル標準とは。
- IPランドスケープとは。
- IPランドスケープのスキルupのために必要なこと。
- 特許戦略の位置付け。
- 特許制度の知識は特許戦略→IPランドスケープ理解への最低限の常識。
- 総論
- 代理人 (弁理士) を使わない自社特許出願は得策か
- 仕事してるふりにならないために…
- 自社出願でも権利化可能な強い特許明細書作成が必要。
- 自社出願による知財部員の負担を軽くできないか
- 会社の特許に関する費用軽減を本当の意味で実現するために。
- 知財部員に必要なスキルは
- 各論 (Q&A)
- クレーム数は
- 特許明細書のページ数は
- 実施例の重要性は
- クレームの広さは
- 先行技術文献の記載数は
- 作成上、どこに時間をかけるの
- どこまで後願排除効を求めるか
- どこまで権利を拡げるか
- 技術者に明細書作成をさせるべきか
- 先行技術調査はどの程度するか
- 実施例・比較例の説明
- 手を抜くべきか、書き込むべきか
- ここは気を付けたい
- 減縮あるいは分割出願の準備は
- 実施例の記載は、実際の製品と同じで良いのか
- 「好ましくは」「より好ましくは」「よりさらに好ましくは」まで必要か
- 自社特許出願で知財部員の負荷が上がらないためには
- 一番集中的に書くところは
- 誰にむけて書くのか
- おさえる2大ポイント
- 審査基準でおさえるポイント
- 判例でおさえるポイント
- 事例検討
- 2つの特許明細書を比較して検討してみよう
- 無駄な記載はないか
- 必要なのに記載がないことがないか
- どこに力を入れているのか
- どこで手を抜いているのか
- もっと効率的に書けないか
- 事業戦略は意識しているのか
第2部 自分で権利化できますか?
特許庁からの書面「拒絶理由通知」だけでは庁の真意はわかりません。第2部では、拒絶理由通知に対する特許庁審査官・審判官面接による対応方法を伝授します。
特許審査中にまず出くわすのが「拒絶理由通知」です。「拒絶理由通知」は書面です。書面だけで特許庁審査官・審判官と誤解なく「会話」をすることは「極めて困難かつ非効率的」です。そこで、必須となるのが、「特許庁審査官・審判官面接」です。面接で技術者・研究者や知財部員が、どんなに開発製品が優れているかを説明しても審査官は聞く耳を持ちません。審査官は、「どんなに優れた技術製品であるか」に興味がないからです。「法律上、特許要件を満たすか」 それだけにしか興味がありません。ですからどんなに優れた技術製品かを延々と語っても審査官は「で?」「どこに特許性があるのですか?」と会話になりません。ましてや、こうした状況を理解しないまま書面だけで意見書や補正書を「出しっぱなし」にしても権利化は困難です。
「面接による権利化の方法」を身につければ、より効率的にかつ確実に権利化が可能です。面接経験がきわめて豊富な講師がその「ツボ」を伝授いたします。
- 事前準備
- まずは、拒絶理由がなぜ発っせられたのか解析しよう
- 拒絶理由は?特許法何条?
- 拒絶理由通知の内容は正しいのか?
- 本願発明の認定 (発明の要旨認定) は正しいか?
- 引例の認定は正しいのか?
- 新規性違反の判断は正しいのか?
- 進歩性違反の判断は正しいのか?
- 記載要件違反の判断は正しいのか?
- 審査官・審判官面接本番
- 何を争い、何を争わないのか?争点整理
- 補正をするのか?しないで意見書勝負か?
- 補正案の提示のタイミング