本セミナーでは電磁遮蔽の中でも特に低周波磁界の遮蔽に重点を置き、基本的な考え方を解説する。電磁波吸収・遮蔽について必ずしも専門ではないエンジニアの方々を対象にし、必要に応じて電磁気学、電気回路、電磁波工学などの解説を行う。 ハイブリッド自動車や電気自動車の駆動系、各種装置電源などの電力機器では、数kHz~数100kHzのスイッチング周波数を基本波とする高調波成分が100MHzあたりまで連続的に発生している。大電流・高電圧のスイッチングに伴う大振幅磁界や電界が発生し、電源部からの漏えいする成分によって外部機器との干渉が懸念されるので電磁遮蔽が必要とされる。100MHz以下の周波数帯において電磁遮蔽を行うとき、遮蔽材位置は発生源からの電波的距離が極近傍の空間領域 – いわゆる近傍界にあるとして扱う。近傍界電磁遮蔽は遠方領域における電磁遮蔽とは異なった特徴があり、特に磁界発生源近傍の磁界遮蔽は、遮蔽量を大きくすることが難しい。ここでは、金属を含む導電材による近傍磁界遮蔽について解説する。