ヒトに入る外界情報の8割は視覚経由であることが広く知られるようになりました。これに呼応するように、視覚的な印象性を付与した製品に、広い分野からの関心が寄せられ始めています。
長い間、高分子製品開発の中心軸は強度・耐熱性・経済性の向上に置かれていました。それらの用途展開が一段落した現在、新たな方向性として ”使う人の心を満たす製品とそれを具現化する技術”に注目が集まりつつあります。
本講座は「高分子製品に視覚的な感性価値を付与する」という単一課題に必要な、多面的な技術をプログラムに組み入れました。ヒトの心理・生理学や光学、顔料の化学的な構造と発色の関係性、外観制御のための製造配合技術などについて、基礎的事項と相関性を余すところなく解説します。
- 視覚のメカニズムとヒトの感性
- ヒトの色相認知機能と脳の働き
- シルクと真珠の光沢から学ぶ”美しい”という感覚
- “安っぽく感じる外観”の理由を探る
- 「塗装面」と「印刷面」における可視光認識の真逆
- 付加価値実現のための顔料の理解と基礎知識
- 顔料の語源 ・ 歴史 ・ 蘊蓄
- 有機顔料の種類と特徴と配合効果
- 有機顔料の発色メカニズム
- 電子論で説明する染料と顔料の違い
- 新顔登場「構造色顔料」の可視光制御機構
- 製品差別化に求められる技術
- 視覚的付加価値製品が求められている社会背景 考
- 組成物技術者のための 二酸化チタンの矛盾
- 微妙な黒色を調整する技術と光学
- 顔料微粒子化のメリットとデメリット
- 評価技術の基礎と応用 ~ 演色 ・ 分散 ・ 色差
- 外観に影響を与える基本的技術
- 印象としての重厚感と軽快感への関与因子
- ゴムの外観に変化を与える配合技術
- 表面粗度の制御と製造方法との関連性
- 長期的な製品外観変化の予測技術