第1部 穴あきグラフェン分子を用いた負極材料の開発
(2018年7月30日 10:00~11:30)
「黒鉛のような分子」はあまり例がありません.今回、中心に空孔をもつ孔があいたグラフェン分子をきちんと整列して結晶化させることで、黒鉛の2倍の容量をもつ、良好な負極材料が得られました.構造と機能とを明瞭に相関させることが可能という、分子の利点を十分に示すことができる成果が得られました。
- 芳香族分子のユニットを環状に連結したドーナツ状の分子の大量合成
- 大環状芳香族分子の特徴・物性・機能
- 大環状芳香族分子のOLEDなどのデバイスへの応用
- 大環状芳香族分子の結晶多系の調製 (結晶性粉体) と精密X線構造解析
- 大環状芳香族分子のリチウムイオン電池の負極材料への応用
- 黒鉛の2倍に相当する高容量
- 高い充放電サイクル特性
- 分子性材料に適した固体電解質
- 結晶構造と電極性能との相関
- 分子中心部の「孔」の果たす2つの役割:リチウムイオンの運搬と貯蔵
第2部 全個体二次電池負極に向けた多層グラフェンの新規合成技術
(2018年7月30日 11:40〜12:40)
- 任意基板上への多層グラフェン (グラファイト薄膜) の「層交換」合成技術
- 2018年3月 Nature Index掲載 https://www.natureindex.com/article/10.1063/1.5010982
- 層交換合成技術に関する詳細とメカニズムの紹介
- 層交換のメカニズム:カーボンと金属の反応
- カーボンとの層交換を誘起する金属種
- 層交換技術のその他の応用:絶縁体上IV族半導体とエネルギーデバイス応用
- 高性能フレキシブル熱電変換素子への応用
- ナノワイヤ構造を含む太陽電池への応用
第3部 グラフェンライクグラファイト (GLG) の合成とリチウムイオン電池負極特性
(2018年7月30日 13:20〜14:50)
酸素がC – O – Cの形で導入された炭素層からなるグラフェンライクグラファイト (GLG) は、グラフェンのような高容量、高入出力特性を示すにもかかわらず、グラファイトと同様の積層構造や形態を有しているため、従来のプロセスにより電極作製が可能な炭素材料である。
本講座では、このGLGの構造、充放電特性および充放電反応を詳細に検討した結果や初期効率の改善等について報告するとともに、これによって得られた知見を元に黒鉛化していない炭素材料やグラフェンで高容量が発現するメカニズムについても議論する。
- これまでの炭素系負極の特徴と問題点について
- グラフェンライクグラファイトとは
- 合成法と構造
- 構造パラメータの制御
- グラフェンライクグラファイトの充放電特性
- 充放電容量への酸素の影響
- 入出力特性
- 充放電反応
- 初期効率の改善
- まとめ
第4部 積層化を抑制した酸化グラフェンの還元による二次電池負極性能の改善
(2018年7月30日 15:00〜16:30)
酸化グラフェンの還元体およびその複合体は、多くの論文で優れた負極特性を示すことが示されている。 本講演では、酸化グラフェンの合成と還元、および複合化の工程を詳細に説明し、リチウムイオン電池の負極特性評価の結果を紹介する。
- 黒鉛を直接剥離する方法
- 黒鉛を酸化して剥離する方法
- 酸化グラフェンの構造と物性の制御
- 電極への応用