近年、国民医療費の膨張よって保険財政が逼迫している影響から、医療機器の保険上の評価が非常に厳しいものとなっている。平成30年度診療報酬改定においても制度的及び実質的に評価に大きく影響を及ぼす可能性が高い事項の変更が数多く行われた。このような業界を取り巻く環境では、薬事承認・保険適用・診療報酬改定に関する総合的なより深い理解と、製品の開発・導入計画時から市販後に至るまでの総合的な保険収載戦略の重要性が高まっている。
この講座では、医療機器の保険収載戦略策定において必要とされる上記事項の要点について、可能な範囲で事例を示しつつ解説する。
- 医療機器の保険収載戦略に必要な制度の理解
- 医療保険制度の概要
- 厚生労働省の組織 – 厚生労働省組織令等を踏まえた理解
- 健康保険法から見る保険制度の特徴
- 保険財政の現状
- 診療報酬項目の定義・解釈と診療報酬の支払審査
- 厚生労働省担当者との交渉時の一般的留意点
- 薬事審査における学会との関係 (特に専門協議)
- 医療機器の保険適用・材料価格の決定プロセス
- 保険適用希望審議における学会との関係
- 評価療養
- 先進医療、患者申出療養
- 特定保険医療材料、機能区分の定義
- 特定保険医療材料の材料価格
- 診療報酬本体部分 (技術料) の設定の概要
- 外保連試案、医療経済評価研究等の医師の技術料評価手法の概要
- 医療経済評価の議論の要点
- 医療機器の保険収載戦略
- 医療機器の薬事承認の区分と保険適用の関係
- 医療機器の薬事承認の内容・範囲と保険適用の関係
- 医療機器の承認の条件と保険適用の関係
- 薬事承認申請に添付する資料と保険適用希望に添付する資料との関係
- 機能区分の新設・定義改正
- 技術料の評価と材料価格との関係
- 医療関係学会との関係
- 平成30年診療報酬改定による変更点とその影響
- 医療機器の保険収載戦略 (2) – 特定保険医療材料としての保険収載上の重要ポイント -
- 類似機能区分比較方式と原価計算方式
- 類似機能区分の選定の留意点
- 医療経済上の有用性の資料収集の留意点
- 原価計算の留意点
- 外国価格に関する資料作成の留意点
- 費用対効果の評価
- 医療機器の保険収載戦略 (3) – 技術料に包括される機器の保険収載上の重要ポイント -
- 関連する既存技術との関係
- 医療関係団体、医療関係学会との関係
- 医師等の技術料の評価
- 医学管理料などその他の診療報酬項目との関係
- 準用点数と診療報酬改定
- 薬事承認取得・保険適用の連続した戦略の必要性
- 薬事承認 (治験等の臨床評価を含む) と保険適用の一体となった戦略策定
- プロジェクトの初期評価の重要性
- 各行政手続の段階に応じたポイント
- 次世代製品を考慮した戦略
- 製品導入にあたっての優先順位決定時の要点
- 診療報酬改定・材料価格改定への対応
- 診療報酬改定 (技術料及び材料価格改定) のプロセス
- 内科系学会社会保険連合 (内保連) と外科系学会社会保険委員会連合 (外保連) 要望のプロセス
- 医療機器業界からの要望プロセスと個別材料価格の改定要望 (医療機器に関係する技術料の改定要望、
不採算再算定及び機能区分分割要望に関する手続き等)
- 先進医療の改定プロセス
- 材料価格改定上での厚生労働省内の議論のポイント
- 材料価格調査上の問題点
- 平成30年度診療報酬改定における薬価制度の抜本改定の概要