臨床試験を支援するコンピュータ技術の進展がめざましく、臨床試験の現場でモバイル技術やクラウドサービスが用いられる例も増えてきています。またサプライヤから提供される製品はアジャイル開発のような新しい開発手法を用いる例が見られるようになってきました。
一方、規制の観点からは、Part 11 [1]やGAMP等の浸透により、コンピュータ化システムバリデーションが確実に実施されるようになり、コンピュータ化システムの信頼性がある程度確保されるようになったものの、様々な人たちが目的達成のプレッシャの下で、故意に記録を変更・削除してしまうという事件が後を絶たず、当局や関連団体からデータインテグリティを確保するためのガイダンスが近年相次いで発行されました。
これはGMPだけの問題ではなく、ICH E6 (R2) [3]にデータインテグリティの確保を意図した要件が盛り込まれ、また今年3月に英国MHRAから発行されたデータインテグリティガイダンスでは適用範囲がGMPから全GXPに拡大されたことは記憶に新しいところです。
本講座では、臨床試験を実施するうえで必要なコンピュータ化システムバリデーション、電磁的記録・電子署名規制対応に関する基本的な要件を理解した上で、最近の技術動向及び規制動向を踏まえて、臨床試験のデータ信頼性を確保していくためのコンピュータ化システムの導入・運用を解説していきます。
なお、当日配布する資料にはテキストの他、海外当局の発行した規制やガイダンスのアズビルによる英文和訳も含まれており、持ち帰って社内で展開し、対応を進められるようにしています。
- 21 CFR Part 11 Electronic Records; Electronic Signatures (Final Rule) , 1997, US FDA
- GAMP 5 コンピュータ化システムのGxP適合へのリスクベースアプローチ, 2009, GAMP JAPAN FORUM, ISPE
- INTEGRATED ADDENDUM TO ICH E6 (R1) : GUIDELINE FOR GOOD CLINICAL PRACTICE E6 (R2) , 2016, ICH
- ‘GXP’ Data Integrity Guidance and Definitions, 2018, UK MHRA
- データインテグリティ
- データインテグリティの要件
- ALCOA原則
- 英国MHRA、米国FDA、PIC/Sのガイダンス
- ICH E6 (GCP) R2
- 米国FDAウォーニングレターに見る重要ポイント
- ER/ES規制対応
- ER/ES規制の背景
- 三極のER/ES規制
- EDC管理シート
- 電磁的記録管理要件
- 電子署名管理要件
- ウォーニングレターの傾向
- コンピュータ化システムバリデーション
- なぜCSVが必要か
- 三極のCSV規制・ガイドライン
- コンピュータ化システムの導入・開発
- EDCシステムのCSV
- ベンダー監査の実施
- ベンダー監査
- ベンダー監査実施要否の判断
- ベンダー監査計画
- ベンダー監査チェックリスト
- ベンダー監査実施における留意点
- アジャイル開発 vs. ウォータフォール開発
- ベンダー監査報告
- クラウドサービスへのベンダー監査
- 新技術対応
- クラウド利用時の留意点
- SaaS、PaaSのリスクと対応
- クラウドサービスの評価
- モバイル技術