(2018年6月19日 10:00〜14:15)
近年、輸送機器の軽量化を目的に、鋼から軽金属、さらに樹脂化へ材料代替が積極的に進められています。特に、軽くて強いというキャッチフレーズで、炭素繊維で強化したプラスチック (CFRP) に大きな注目が集まっており、旅客機に加え量産車への採用が始まっています。しかし、材料および製造コストが高く、その用途拡大は容易なことではありません。 欧米が先行しているCFRPに未来はあるか?参入すべきかどうか?CFRPにおける我が国の強みと弱み何か?CFRPの量産・再利用において熱可塑性CFRPは有用か?CFRPを安く提供するには?ガラス繊維はどうか?金属とCFRP、金属と樹脂との接合はどうか?マルチマテリアル化に必要な接合とは?軽量化コストやリサイクル、CFRP製品設計技術と人材など、課題が山積しています。 本講座では、熱可塑性CFRPの材料や特性、量産化のための様々な製造技術、さらに熱可塑性CFRP特有の融着接合法について、欧州での最新事例と演者らが行った産学連携による研究開発事例を紹介し、今後の熱可塑性CFRPの用途拡大への解決策と自動車産業におけるCFRPの近未来を予測します。 今回は、特に欧州での最新事例として、2016年から2018年にパリで開催された世界最大規模の複合材料に関する展示会 (JEC World 2016,2017,2018) の話題とその変遷に加え、2016年6月にミュンヘンで開催された欧州複合材料学会 (ECCM – 17) および2016年10月にブレーメンで開催された熱可塑性CFRPの国際会議・展示会 (ITHEC2016) 会議で発表された最新の研究成果をわかりやすく紹介し、欧州でのCFRPの勢いと移り変りをお届けします。
(2018年6月19日 14:25〜15:35)
熱硬化性樹脂を用いたCFRP (CFRTSとも呼ぶ) は、成形時間の長さや、二次加工、リサイクルが困難な点など、課題も存在しているため、自動車業界を含むより広範な用途に向け、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用いた炭素繊維強化プラスティック (CFRTP) の開発が進められている。AGC旭硝子で開発したフッ素技術によるエンジニアリングプラスティック、炭素繊維強化プラスティックの改質技術は、AGC独自のフッ素技術と他の素材を「複合化」する技術であり、様々な素材に適用することができる。 そこで本講座では、フッ素技術によるエンジニアリングプラスティックの改良について紹介し、更にはCFRTPの改質技術や異種結合への展開について紹介する。
第3部 CFRTPと金属の射出成型接合技術
~成形機実演付き~
(2018年6月19日 15:50〜17:00)
CFRPには熱硬化性樹脂を用いるCFRTSと、熱可塑性樹脂を用いるCFRTPの2種類があり、成型工数・リサイクル・コスト等の問題からCFRTPに向かって動き始めている。カーボン繊維をつなぐ最適なマトリックス樹脂の開発や長繊維で成型する工法および設備の開発が進展している。 しかし出来上がった成型物は組み付け部品が大半であり、その締結部には金属部品を介して摺動させるか締め付けることになる。金属部品と組み合わされたCFRTP部品は金属部品との接合強度で部品強度が評価されることになり、接合強度の品質保証に注目が集まっている。また、そこには電蝕についても対策が必要である。 本講座では実際に射出成型機を会場に持ち込んでCFRTPと金属の射出接合成型を御覧に入れる。