日本の学校では英語を学ぶために多くの時間が費やされ大きな努力が傾けられていながら、実際の場面では、思うことを英語でうまく表現できない、と言われています。学校教育に携わる者として、語彙や文法の習得に関して一定の成果は上がっていると思いたいのですが、一つだけ確かに欠けているものがあると感じています。それは、言語以前に、ものをどのようにとらえるかという観点です。物質的な実体であれ精神的な概念であれ、ものをどのようにとらえるかという問題は、それをどう表すかという問題の基盤にあります。しかし学校では、それをうまく系統化して教えてはいません。
この講演では、英語で一定の内容を説明しようとする時、ものの特徴・構成・状態・動作などのとらえ方をまずパターン化し、それに、順序・配列・階層といった観点を加えることで効果的な英語表現の技法を身に付けることを目指し、一般的な場面で役立つ技法を解説します。加えて、英語表現の具体的用法を調べるためのツール「言語コーパス」の導入も行います。
さらにもう一つ、英語の発想を身に付けることで会話の場面をうまく切り抜ける応用例として、研究者同士の英語による交流を取り上げます。会話の輪の中に入っていく方法、会話を進めるための方法、会話の中で発生する不規則な状況への対応法などを解説します。 いずれにしても、国際的な場面を切り抜けるために役立つお話をいたします。 (一部、練習問題にも取り組んでいただきます。)
- 導入: 英語的発想とは何か
- ものをどのようにとらえるか
- 特徴・構成・状態・動作などの観点でものをとらえる
- 順序・配列・階層などをもとに内容を組み立てる
- 英語でどのように表現するか
- 基本的内容を提示する
- 基本的内容を修飾する
- 即物的・概念的・比喩的に表現する
- 論理的に表現する
*学習のためのヒント (単語で覚えない。かたまりで覚える。)
- 英語表現の探索を助けてくれる強力なツールを使用する
- 言語コーパスとはなにか (*受講者が既知であれば省略します)
- 言語コーパスで何ができるか
- 研究者・技術者のための英語ソーシャライジング技法
- ソーシャライジング
- 現代においては e-mail での通信が有力なツール
- 直接会って話をする (既知・未知の相手)
- visiting a professor, etc.
- cocktail party / welcome drinks / welcome reception
- パーティーで歩き回って歓談する (mingling)
- 会話に入る
- 話しかける
- 話の輪に入る
- 自己紹介する
- small talkで打ち解ける
- 会話を続ける
- 会話を終える
- その場を切り抜ける会話のヒント
- 割って入る
- 話のバトンを取り上げる
- 相手の感情を損なわないための前置き表現を使う
- 言葉が浮かばないときに助け舟を出してもらう
- 聞き取れない時にうまく聞き返す
(または、要点がつかめない時に説明を求める)
- 相手の話を要約する
- ネットワーキング
- 人と人を引き合わせる
- 提案する・勧誘する
- 今後の関係継続を示唆する (Let’s keep in touch.)