高強度軽量化材料としてますます注目を集めるCFRP (炭素繊維強化プラスチック) 。熱可塑性樹脂をマトリックスとしたCFRTPの拡大と熱硬化性樹脂の室温長寿命化と硬化時間の大幅短縮という技術的進歩によって、CFRPはより一般的な産業材料としての適用が拡大していくと期待されています。適用拡大を実現するために必要な考え方の一つが「量産へのアプローチ」ですが、国内外問わず業界で議論されるのは「高効率生産技術や低コスト化」といった側面に限られているのが現状です。もちろんそのような考え方は量産化へのアプローチとして必須であることに疑いの余地はありませんが、海外でCFRP製品の量産立ち上げの実体験を有する講師としては「品質問題の迅速な原因究明」と「工程安定化」の両輪の取り組みが必須である、というのが揺ぎ無い考えです。
そこで本講演では、講師がCFRP製品の量産ライン立ち上げという実体験を通じて必要不可欠と感じた該両輪に関するコンセプトと工程規格 (Process spec) と作業手順書を媒体とした実業務への落とし込み方法について解説を行います。また本講演で習得できる知見は、長繊維化や樹脂の改質によって適用範囲が拡大するGFRP (ガラス繊維強化プラスチック) にも適用できます。従来と異なるアプリケーションにGFRPを用いる、CFRPを用いた製品の量産準備を行っている、または近い将来それらの必要性に迫られる企業の方々にとって参考になれば幸いです。
- CFRP製品で実際に生じる問題事例
- 組み立てられない、はまらない
- 突然壊れた
- 外観不良が多発
- CFRP製品の量産工程構築における問題回避と早期解決に向けて
- 最重要となる2つのコンセプト
- コンセプトを具現化する2つの文書
- 日々の工程管理の要所をおさえる工程規格
- 工程の安定化と技術伝承の鍵となる工程手順書
- CFRP製品製造工程の基礎解説
- CFRP製品製造工程概要
- CFRP材料裁断で重要な管理項目
- CFRP成形加工で重要なパラメータ
- CFRP加工工程の重要性
- CFRP製品製造工程では成形加工以外にも注意を払う
- 世界的に盛り上がるCFRP製品製造「自動化」の盲点
- CFRP製品の製造技術
- 裁断技術概要
- 予熱技術概要
- 積層 (プリフォーム) 技術概要と比較
- 成形技術概要と比較
- 加工技術概要と比較
- 検査技術
- 寸法検査技術概要と比較
- 非破壊検査技術概要と比較
- 工程規格
- 工程規格の目的
- CFRP製品図面での工程規格引用方法
- 工程規格の基本構造
- 工程規格の構成詳細
- 規格の適用範囲
- 参照規格
- 言葉の定義
- 材料の取り扱い
- 裁断/積層
- 成形
- 加工
- 検査
- 補修
- 設備
- 備品
- 記録
- 安全
- 工程規格の要件の決め方
- 外部委託で製品製造する場合の工程規格の設定と運用のポイント
- 工程手順書
- 工程手順書の目的
- 工程手順書の効果
- 工程手順書のポイント
- 工程手順書の現実
- 工程手順書の整備に向けた施策
- 量産問題の回避と早期解決に向けた施策のFRP製品製造技術への落とし込み
- デジタルに加え、アナログでの記録
- 自動でデータを蓄積するシステム
- プロセスデータは製品と1:1になるように管理
- 不定期の監査を実施
- GFRPの概況変化
- GFがCFに対して有する圧倒的なアドバンテージ
- GFRPの適用領域の変化
予めご留意いただきたいこと
本講演では、受講内容の理解を深めていただくことを目的に講師から受講者の方に問いかけがあります。予めご了承ください。