本講演では光学的反射特性を利用した物体の3次元形状復元技術について紹介を行うとともに、応用として近年対象としてきた画像認識の問題についていくつか紹介する。濃淡画像から物体の3次元情報を復元するには画像の明るさから面の法線ベクトルを復元する方法があり、手掛かりとしては面の光学的反射特性が重要である、反射特性にはLambert反射をはじめ鏡面反射を伴う反射特性関数が様々提案されているが、複雑な反射特性をもつ物体の形状復元には一般に非線形最適化を行う必要がある。他方で近年人工知能技術としてニューラルネットワークが機械学習に応用されており、形状復元への応用にも、経験的照度差ステレオをはじめ、様々な問題への応用が可能である。照度差ステレオでは複数光源を利用して局所的に面の法線ベクトルを復元するが、単調に閉じた物体では1枚の画像でも形状を復元する手法もある。 本セミナーでは、一般的な物体を対象としたこれらの形状復元手法のほか、走査型電子顕微鏡 (SEM) や内視鏡などに応用する手法についても紹介する。また、機械学習を用いた画像認識問題への応用として、内視鏡ポリープの検出や分類問題、ならびに顕微鏡細胞画像の検出や分類問題を取り上げて実際の応用手法を紹介するものとする。近年のディープラーニングを利用した画像認識の諸問題についても併せて紹介する。