第1部. 環状型ペプチドライブラリの開発
(2018年6月5日 10:00〜12:00)
当社では、1~10兆種類という膨大な多様性を持ったペプチドライブラリを作製し、その中から標的分子に結合するペプチドを効率的に探索・発見する技術“cDNAディスプレイ法“を開発してきました。また、同技術はジスルフィド結合を含む種々のペプチドライブラリを安定・効率的に作製することが可能であります。
本講演では実際の環状型ペプチド獲得例を含めて、環状型ペプチドライブラリ開発に関する研究成果をご紹介いたします。
- cDNAディスプレイ技術について
- 進化分子工学
- ディスプレイ技術開発の経緯
- cDNAディスプレイ技術
- 環状型ペプチドライブラリ開発
- ジスルフィド結合による環状型ペプチドライブラリ
- 架橋剤による環状型ペプチドライブラリ
- Scaffoldライブラリ
- 環状型ペプチド獲得例
- 精製タンパクに対する環状型ペプチド獲得例
- 細胞表面上標的に対する環状型ペプチド獲得例
第2部. ペプチドミメティックを活用した環状ペプチド誘導体の創製
(2018年6月5日 12:45〜14:15)
ペプチドを基にした中分子創薬によって、安全性が高く、微量で薬効を有する医薬品の開発研究が進んでいる。特に環状ペプチドはコンフォメーションが固定化されているために、標的分子との強い結合や膜透過性、安定性の向上が期待できる。本講演ではペプチドミメティックを活用した環状ペプチド誘導体の創製について議論したい。
- ペプチド性医薬品の現状
- ペプチドリード
- ペプチド性医薬品のドラッグデリバリーシステム
- 中分子創薬
- ペプチドミメティック
- ペプチド結合等価体 (イソスター) 、ミメティックの概念
- ペプチドイソスターの合成法
- ペプチドミメティックを活用した環状ペプチド誘導体
- ペプチドイソスターを導入した環状ペプチドミメティック
- 種々のペプチドミメティック
- GPCR dimerの分子プローブと二価型GPCR拮抗剤
- 抗がん剤、抗HIV剤への応用
第3部. 環状ペプチドの三次元構造に基づくドラッグデザイン
(2018年6月5日 15:00〜17:00)
環状ペプチドは、従来の低分子医薬 (複素環化合物、多環式化合物など) に比べて立体配座の自由度が高いため、その三次元構造は構造改変や外部環境に大きく影響される。従って、高活性類縁体の設計には、三次元構造を精密に解析し、その特徴を深く理解することが不可欠である。
本講演では、環状ペプチドの三次元構造をNMRにより解析する方法論を概説する。天然由来の環状ペプチドを例として、三次元構造 – 生物活性 – 膜透過性の解析ならびに三次元構造に基づくミメティクスの設計ついて説明する。
- 環状ペプチドの三次元構造に着目する重要性
- 環状ペプチド創薬の長所・短所
- 三次元構造 – 生物活性 – 体内動態の関係
- NMRを用いた環状ペプチドの三次元構造解析法
- NMRの測定と解析
- 距離情報と二面角情報の取得
- 拘束条件を用いた安定配座の計算
- 分子内水素結合の解析
- 研究例1 : PF1171類の三次元構造-活性相関研究
- 全合成
- 三次元構造解析
- 構造活性相関
- 膜透過性、経口吸収性
- 疑似生体内環境における三次元構造の解析
- 研究例2 : apratoxin Aの三次元構造に基づくミメティクスの創製
- 全合成
- 三次元構造解析
- 構造活性相関
- ミメティクスの設計と合成