第1部 硫化物系固体電解質の構造解析とイオン伝導性の向上
(2018年6月14日 10:30〜12:00)
本講座では、これまでのイオン伝導ガラスの開発研究において主流ではなかった金属硫化物Al2S3に着目し、いくつかの硫化物系イオン伝導ガラスの構造解析結果に基づいて設計・合成したNa2S – Al2S3ガラスのイオン伝導性について報告します。さらに、中性子と放射光X線を併用したガラスの構造解析も行い、ガラス中に発現したイオン伝導性と構造との関係性についても議論します。
- 研究背景
- 全固体Naイオン電池と固体電解質材料としてのイオン伝導ガラス
- これまでのNaイオン伝導ガラスの開発と構造研究
- 構造解析の結果に基づいたNa2S – Al2S3ガラスの開発指針
- Na2S – Al2S3ガラスの創製
- メカニカルアロイング法によるNa2S – Al2S3ガラスの合成
- 交流インピーダンス法によるNa2S – Al2S3ガラスの電気伝導度測定
- Na2S – Al2S3ガラスの構造解析
- 中性子・X線の散乱と二体分布関数解析の基礎
- Na2S – Al2S3ガラスの中性子・放射光X線回折測定
- Na2S – Al2S3ガラスの二体分布関数解析による短距離構造の解析
- 逆モンテカルロ法によるNa2S – Al2S3ガラスの3次元原子構造モデルの構築
- Na2S – Al2S3ガラスの構造とイオン伝導性
- 3次元原子構造モデルの解析によるNa2S – Al2S3ガラス中のNaイオンの存在環境
- Na2S – Al2S3ガラスのイオン伝導経路の解析
- まとめ
第2部 液相法による硫化物系電解質の調製と全固体リチウム電池への応用
(2018年6月14日 12:50〜14:20)
リチウムイオン二次電池の信頼性・安全性を向上し、コンパクト化を可能にするためには、全固体化が必須であり、優れた固体電解質の開発とその量産技術が望まれている。
本セミナーでは、先ず、硫化物系固体電解質の導電率を高めるための取り組み、液相から硫化物系固体電解質ナノ粒子を合成する方法、得られた電解質を用いた全固体電池の特性を紹介する。次に、電気泳動堆積法によって硫化物系固体電解質厚膜および正極活物質厚膜を集電体上に形成する方法と正極複合体厚膜の微構造制御に関する研究成果を詳しく説明する。
- 液相加振 (LS) 法によるLi2S – P2S5系固体電解質 (LPS) の合成と特性評
- LS法におけるLPS反応プロセス
- 調製したLPSの構造と特性
- LPSを用いた全固体電池の構築
- 液相加振 (LS) 法によるLi2S – P2S5 – LiI系固体電解質 (LPSI) の合成と特性評価
- LS法におけるLPSI反応プロセス
- 調製したLPSIの構造と特性
- LPSIを用いた全固体電池の構築
- 電気泳動堆積 (EPD) 法によるLiイオン電池正極複合体の作製と界面設計
- LPS前駆体のエステル系溶媒中における静電的分散とEPD厚膜成形
- 正極活物質の塩化メチレン中における静電的分散とEPD厚膜成形
- まとめ
第3部 酸化物固体電解質の界面設計と界面抵抗低減
(2018年6月14日 14:30〜16:00)
革新電池の一つとして期待される全固体電池は,多くの技術課題が存在する。中でも,全固体電池特有である固体 – 固体の埋もれた界面で生じる電気化学現象の理解と制御は不可欠である。本講では,固体電解質の界面に生じる現象と制御の例を実例を元に解説する。
- 全固体電池における界面
- 固体電解質の表面・界面の構造と制御
- 固体電解質|活物質界面のイオン伝導性
- 固体電解質|金属リチウム界面の制御
- 固体電解質の粒界制御による金属リチウム成長の抑制