(2018年5月30日 10:00〜11:30)
(2018年5月30日 12:10〜13:40)
私たちは3次元の世界をごく自然に知覚していますが、特に意識もせずにこのことが実現できているのは、視覚システムがさまざまな3次元の手がかりを利用して2次元の網膜像から3次元の空間や構造を計算し、復元しているためです。HMDによるVRやARの呈示においてリアルな3次元の空間や構造が知覚されるのも、現実世界と同じように呈示されたこうした手がかりを視覚システムがいわばだまされて用いて計算、復元しているからといえます。しかし、現状のVRやARのシステムでは視野角や解像度、焦点距離など現実世界で得られる視覚情報とは異なる点も多くあります。 本講座では一般的な奥行きや3D知覚の特性やそのメカニズムを紹介しながら、VR/ARに特有の問題点や特徴的な点について適宜取り上げ、解説します。
(2018年5月30日 13:50〜15:20)
私たちは頭を動かしても世界が動いているようには知覚せず、視野は安定しています。また、日常的に自分の手の動きを見ながら様々な操作をしています。 本講座では、VR技術を用いることで、これらのメカニズムや可塑性を調べることができること、新たなヒューマンインターフェースが構築できる可能性について示します。また視覚情報は触覚にも影響することを、機械系を含む実験装置で測定した例を示し、ハプティックデバイスの最適セッティングや限界を超える手法について紹介します。さらに、人工現実感 (VR) や拡張現実感 (AR) の技術を応用することで、視聴覚情報が食品のおいしさに与える影響 (クロスモーダル効果) が精密に測定できること、食品設計におけるクロスモーダル効果応用を指向する「食品情報工学」の将来展望について言及します。
(2018年5月30日 15:30〜17:00)
現在、ヘッドマウントディスプレイ等で注目されているVR環境ですが、場合によってはVR酔いと言われる乗り物酔いのような症状が現れることがあり、これをできるだけ軽減することが、優れたVR技術の発展のために必要不可欠です。 本講座では、そのためにどのような対策が考えられるか、原因仮説や生体影響計測手法にも立ち返りつつ、関連する映像酔いの人間工学的指針の考え方を併せて紹介し、指針の今後の国際標準化の動向含めて解説いたします。