本セミナーでは、熱膨張の基礎から解説し、各種材料における熱膨張機構や制御法を各専門の講師が詳解いたします。
東京工業大学 大学院理工学研究科 物質科学専攻 (有機材料工学科) 教授 扇澤 敏明 氏
熱膨張挙動は物質の最も基本的な物性の1つであり、密度に関連する全ての物性に影響を及ぼす。特に、どのような材料においてもさまざまな温度環境下での使用に際し、材料の熱膨張係数の低減が大きな課題であることから、熱膨張機構を踏まえた上で材料への応用展開を図る必要がある。 それゆえ、なぜ種々の材料、特に高分子およびその複合材料における熱膨張挙動の特徴について概説する。そして、低熱膨張材料を設計する場合の指針となることを趣旨とする。
名古屋大学 大学院工学研究科 結晶材料工学専攻 准教授 竹中 康司 氏
産業技術の高度な発達は、「固体の宿命」とも言える熱膨張すらも制御することを求める。固体材料の熱膨張を特定の値、典型的にはゼロ、にすることは、今や多くの産業分野で切実に求められている。 固体材料の熱膨張制御に活躍しているのが、通常の材料とは逆に、温めると縮む材料、すなわち「負熱膨張材料」である。 講演では、熱膨張はじめ固体材料物性に始まり、負熱膨張材料ならびに負熱膨張機構、さらには負熱膨張材料を用いた無機固体材料の熱膨張制御についてその基礎を解説する。