レオロジー測定は、人間の触覚を定量的に評価するような手法である。物質の硬さ、柔らかさ、粘り、サラサラ感等は、物質を変形させた時、あるいは物質に力を加えたときの手応えとして感じるものであり、それらは弾性率や粘度といった物質量として表わされる。
ただし、固体とも液体ともいえない物質 (溶融状態の高分子・スライム・ケチャップ・マヨネーズ・生クリーム・片栗粉等) については、弾性率や粘度は定数ではなく、時間に依存し、更には、刺激の周波数やその大きさ (振幅) にも依存する。このように刺激に対する応答が複雑な振る舞いをする物質は、弾性論、塑性論、流体力学の範疇で扱うことが困難であり、レオロジーはこうした物質一般を対象にする。
本セミナーでは、第1部でレオロジー測定の原理、測定される物理量の意味、特に高分子物質を中心とした粘弾性体の構造とレオロジーの関係、レオメーター使用上の注意点等を具体例を挙げながら解説する。 第2部では、回転型レオメーターを用いたデモを交えて、レオロジー測定の基礎から測定上の注意点やデータの良し悪しの判断基準までを説明する。
第1部.「レオロジーの基礎・レオメーターでわかること」
(10:30~12:00、12:45~14:15)
- レオロジーとは
- レオメーターの基本
- 液体用・固体用レオメーター
- 応力と歪
- 弾性率・ヤング率・ポアソン比・粘度・コンプライアンス
- 粘性体・弾性体・粘弾性体
- 理想弾性体
- 理想粘性体
- 粘弾性体
- ビンガム塑性体
- 非ニュートン流体
- 粘弾性体について定義される物質パラメータ
- 緩和弾性率
- 複素弾性率
- 粘度成長関数
- 複素粘度
- Boltzmannの重畳原理による各粘弾性パラメータの関係付け
- 高分子の粘弾性
- 高分子の粘弾性スペクトル
- 粘弾性パラメータの分子量依存性
- 時間温度換算則
- からみ合いとは
- 非線形粘弾性挙動
- おわりに
第2部. 「回転型レオメーター、キネクサスによる粘度・粘弾性測定のデモ」
(14:30~16:30)
- 装置概要
- 装置構成と各構成部品の主な役割
- 測定の流れ
- ジオメトリー (アタッチメント) の種類と特長
- 測定モード
- ビスコメトリー (回転) の各測定モード
- オシレーション (振動) の各測定モード
- 未知のサンプルの測定アプローチ
- ビスコメトリー (回転) 測定のデモ
- 粘度測定
- 降伏応力測定
- 粘度の時間/温度依存性測定
- スリーステップシェア測定 (チクソ性)
- オシレーション (振動) 測定のデモ
- 振幅掃引測定
- 周波数掃引測定
- 時間/温度掃引測定 (ゲル化、硬化、軟化)
- 測定および測定結果における注意点
スケジュール
- 10:00~10:30 受付
- 10:30〜12:10 講義
- 12:10〜13:00 昼食休憩
- 13:00〜14:40 講義
- 14:40〜15:00 質疑応答・休憩
- 15:00〜16:30 講義・デモ
- 16:30~ 質疑応答・名刺交換
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