本セミナーでは、ゲルの基礎から解説し、ブルーミングやオイルの分離などのトラブル対策、品質や物性の安定化に必要な知識、ゲルを多様に表現するための応用編までを網羅的に解説いたします。
リップ化粧品の基本構造は油性ゲルに着色剤を分散させたものである。リップ化粧品の性能として、唇に塗った際に美しいつやや色を提供すること、そしてその色やつやが長時間続くことが挙げられる。また、見え方だけでなく、塗布することによって唇を乾燥から防ぐことや乾燥感や違和感を与えないことも重要である。さらには、スティックやチップによって滑らかに、均一に塗布出来ること、そしてスティックやリップグロスが長時間の保管や使用によって、折れ・溶け・分離などの品質問題をおこさないことも不可欠な性能であるといえる。 これらの多岐にわたる性能を満足させるためには、まずは基剤である油性ゲルの物性を適切に制御することが重要である。また、着色剤をオイルゲル中に高分散させ、かつ安定させる技術、そして塗布にともなってゲルが崩れ、唇上にのった着色剤を長時間そのまま維持させる技術が必要になる。 本セミナーでは、油性ゲルの物性制御と、持続性向上も含めた着色剤のオイル分散制御の2点について、その基礎技術と化粧品への応用法を解説する。 油性ゲルについては、ワックス類なども含めた多種多様なゲル化剤について、その作用機構に基づいた分類とそれぞれのゲルの物性の特徴、そしてこれらがおこしがちな品質トラブルについて解説をおこなう。また、現在取り組みがおこなわれている新しいタイプのゲル化剤についても紹介をおこなう。 着色剤の分散については、分散を悪化させる因子やそれを改善する分散剤の機構について解説をおこなう。そして唇上から着色剤を動かなくさせること、すなわち高持続の技術にはどのようなものがあるのかを解説する。