宇宙も我々の体もほとんど水素でできている。この身近な水素は鋼にとっては厄介な元素で、ppmという極わずかな量で鋼を脆化させる。特に高強度の材料ほど影響を受けやすく、鋼の高強度化を阻んでいて、そのため鋼の理想強度の半分も利用できていない。水素脆化の特徴や微量の水素によってなぜ脆化するのかを理解し、その対策について学ぶ。
- 水素脆化の基礎
- 水素脆化の特徴
- 水素脆化の歴史:知られたのは古いが理解が進んだのは最近
- 水素脆化の特徴
- 鋼の水素の固溶と拡散
- 鋼の水素固溶度が低いのはなぜか?
- 強度によって水素量や拡散速度が変わるのはなぜか?
- 水素はどのようにして鋼に侵入するのか?
- 腐食による水素の侵入
- 大気中の水蒸気から溶鉄への固溶
- 水素ガスからの侵入:安定な水素分子が原子に解離して侵入する不思議な現象
- 水素脆化のメカニズム
- 水素脆化の評価方法と留意点
- 水素量の分析
- 全水素量と拡散性水素量、その分析法
- 水素源となる環境の評価方法
- 水素拡散係数の測定方法
- 電気化学的水素透過法
- 水素放出曲線から水素拡散係数を求める方法
- 水素脆化試験の方法と留意点
- 引張試験:SSRT (Slow Strain Rate Testing)
- 定荷重試験
- 低ひずみ試験
- 破壊力学試験法
- 高圧水素ガスによる水素脆化と評価技術
- 高圧水素ガス中の曝露試験
- 曝露試験で評価できることは?
- 水素拡散と水素侵入深さ
- 高圧水素ガス中の引張試験
- 引張試験で評価できることは?
- 評価事例
- 高圧水素ガス中の疲労試験
- その他金属材料の水素脆化
- フェライト系ステンレス鋼、オーステナイトステンレス鋼の水素脆化
- 高合金、ニッケルの水素脆化
- アルミニウム、アルミニウム合金の水素脆化
- チタニウム、チタニウム合金の水素脆化
- トラブル事例と対策