遺伝子組換え技術に基づくバイオ医薬の生産において最も重要な作業はセルバンクの管理です。なぜなら構築したセルバンクの品質が最終医薬品の品質を規定してしまうからです。
本講座では動物細胞由来セルバンクの作製および管理方法について、最新のバイオ医薬品審査における規制当局の考え方を踏まえ、セルバンク管理のポイントについて解説します。
- セルバンクの作製の概要
- 動物細胞バンクと微生物細胞バンクの違い
- 動物細胞の構造、特性を理解する
- マスターセルバンク (MCB) とワーキングセルバンク (WCB)
- セルバンクに対する規制要件
- 構築セルバンクの試験項目
- セルバンクの保管管理の重要性
- 動物細胞由来セルバンクの作製と保管
- セルバンクの作製および保管にどんな装置、機器が必要か?
- バンク作製に用いる原材料および培地の管理ポイント
- セルバンク作製を外部委託する場合のポイント
- 分割保管をどのようにしたらよいか?
- 日本国内で作製したセルバンクを海外へ輸送する時の留意点
- セルバンクの再評価 (re – test) と更新
- 長期安定性をどのように評価したらよいか?
- 長期保存セルバンクの安定性の評価のポイント
- セルバンクの作り替え (更新) はどのように考えたらよいか?
- 開発段階でセルバンクを更新する場合、どのようにしたらよいか?
- 製造販売承認申請におけるセルバンク管理のポイント
- セルバンクの構築の経緯はどのようにまとめたらよいか?
- セルバンクの評価 (特性、無菌、マイコプラズマ、ウイルス安全性)
- セルバンク製造および試験を外部委託した場合の申請書の書き方
- セルバンクの保管方法の記載は重要 (原則リスク分散のため分割保管)
- セルバンクの再評価 (re – test) 法および更新手順の記載は必須
- 製品の品質を保証するために、どのようにセルバンクを管理しているか?
バイオ医薬品の特性解析・構造決定の方法/解析のポイントと品質管理方法への活用について、ICH-Q6B (生物薬品の規格及び試験方法の設定) 、ICH-Q11 (原薬の開発と製造) 及びICH-Q8 (製剤開発) をベースに解説する。なお、規格及び試験方法については、日局の収載例を交えて設定のポイントを解説する。
- 特性解析と構造解析
- 目的物質の特定
- 遺伝子組換えによる想定アミノ酸配列との一致性
- 一次構造の決定、分子量
- 糖鎖構造の同定と均一性 (不均一性) の説明
- 生物活性:有用性の根拠
- 免疫学的性質
- 物質量 (タンパク質含量)
- 目的物質の不均一性と目的物質関連物質
- 一次標準物質 (常用標準物質) の設定 (国際標準品の利用)
- 不純物
- 目的物質由来不純物
- 製造工程由来不純物 (安全性の説明と工程管理方法:測定感度と除去能の説明)
- 混入汚染物質 (ウィルス安全性:不活化方法と除去能の保証)
- 微生物学的評価項目 (製剤における無菌性の保証)
- 品質管理への活用
- 特性解析・構造決定手法に基づく規格及び試験方法の設定
- 確認試験 (原薬及び製剤)
- 純度試験 (目的物質関連、目的物質関連不純物、製造工程由来不純物)
- タンパク質含量、力価
- 標準物質の規格及び試験方法 (一次標準物質、常用標準物質、国際標準品)
- 規格設定の要件:報告義務の理解と規格設定方法
- 妥当性の根拠の提示方法