変形性関節症の病態・最新の知見と臨床現場が臨む新薬像

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超高齢社会を迎え、変形性関節症 (osteoarthritis, OA) は大きな社会的問題となっている。疼痛の原因として、軟骨の摩耗が挙げられてきた。運動器疾患ゆえ、生命予後にまで影響を与えないとも考えられてきた。臨床現場では、関節痛が最大の愁訴であるため、非ステロイド性消炎鎮痛剤 (NSAIDs) が処方され、無効例には人工膝関節置換術 (Total knee arthroplasty, TKA) が勧められてきた。最近の研究で、NSAIDsの長期処方が心事故の原因となることが示唆された。さらに、欧米を中心とした爆発的TKA症例増加を契機に、TKAの反省が生まれてきた。すなわち、術後に残る膝関節痛の問題である。  現場が望むことは、OA進行を抑制 (修飾) する新規薬剤Disease Modifying Anti-OA Drugs (DMOADs) の開発である。ヒアルロン酸に代表される関節内注入療法に、その効果が期待された。しかしながら、各OA治療ガイドラインの記載には不一致が認められる。さらに薬剤開発における最大のツールである「疾患マーカー」の問題もクリアされていない。OAは従来肥満を基とする、関節に対する機械的負荷が最大の原因とされてきた。しかし、近年の研究は、「慢性炎症」がその基盤であることを明らかにした。このパラダイムシフトに伴い、DMOADs開発戦略や臨床治験の進め方に変更が余儀なくされた。  最近の流行は、ロコモティブシンドロームに代表される運動療法に向かいつつある。近年OAそのものが、メタボリックシンドロームの一部と考えられるようになり、改めて運動療法と慢性炎症の関係が注目されるようになった。  最近、再生医療の有用性が喧伝されている。OAの領域でも、軟骨欠損に対する間葉系幹細胞移植が広く行われてきた。その問題点を解説するとともに、胚性幹細胞やiPS細胞の将来性に言及する。  本講演では、これらの最新の知見をふまえ、臨床現場からの要望にこたえる新薬開発のヒントを提供したい。

  1. はじめに
    1. 変形性関節症 (OA) の症状、診断、評価法
    2. 有病率 (市場)
  2. 現場の誤解
    1. 軟骨が減るから痛い
    2. 遺伝疾患である
    3. 命まで取られない
  3. 新薬開発のヒント
    1. 現場が望むこと
    2. 消炎鎮痛剤の現状
    3. パラダイムシフト
  4. ガイドライン
    1. その問題点
    2. グルコサミンの敗北
    3. ヒアルロン酸の立ち位置
  5. 人工膝関節置換術 (TKA) の反省
    1. 急増するTKA (海外の現状)
    2. 術後に残る膝関節痛
    3. オピオイド
  6. 新たな薬剤DMOASsへの挑戦
    1. ADAMs阻害剤の足跡
    2. 関節マーカーの現状
    3. 動物実験の位置づけ
    4. 現在進行中の治験
  7. 治験デザインの工夫
    1. Flair upという魔物
    2. プラセボとの戦い
  8. 最近の流行
    1. 運動療法の再興
    2. 行動認知療法が流行る理由
    3. 続ける工夫:遠隔診療
  9. 再生医療の黎明
    1. 間葉系幹細胞の隆盛
    2. iPS細胞は何処までとどく
  10. 未来に向かって

会場

滋慶医療科学大学院大学
532-0003 大阪府 大阪市 淀川区宮原1-2-8
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