体温が高い時に氷枕を使うときがありますが、氷枕は氷が融ける際に周囲から熱を吸収する作用を利用しています。このような氷から水へ、水から水蒸気へといった状態変化を利用して熱を高密度に貯める方法は、古くから活用されてきています。
本講演でははじめに、物質の相変化 (融解/凝固) を利用して効率的に熱を貯蔵する技術について、原理と利用上の特徴を解説します。次に、相変化蓄熱材料の特徴、開発・応用状況、機能性の向上に関する考え方について紹介します。さらに、相変化蓄熱材の特徴の一つである過冷却現象を活用する方法を、関連する特許にも触れながら紹介します。
- サーマルマネージメントの必要性が高まる背景
- エネルギー需要の変遷
- スマートコミュニティと熱利用
- 未利用エネルギーの活用には
- 相変化蓄熱の原理と特徴
- 蓄熱作用
- 蓄熱原理
- 蓄熱装置
- 利用時の特徴
- 蓄熱システムの設計と評価
- 相変化蓄熱材料の特徴と開発・応用状況
- 水
- パラフィン
- ポリエチレングリコール
- 水和物
- 糖アルコール
- 金属
- 相変化蓄熱材の機能性の改善
- 過冷却とその防止
- 相分離とその防止
- 熱移動の促進
- 融点の調整
- 過冷却の活用
- 自動車と相変化蓄熱
- 過冷却蓄熱とは?
- 関連特許と課題
- 過冷却度の制御
- 給湯システムへの応用
- 新たなアプローチ
- まとめ