第1部. 腹腔鏡手術を踏まえた癒着防止材の臨床ニーズ
(2018年4月12日 10:00〜11:30)
消化器外科領域においては近年低侵襲手術である内視鏡外科手術が多くの分野で応用されている。本術式はこれまでの開腹術に比べ、整容性をはじめとした身体的負担の軽減や入院期間の短縮の観点から利点が多い。また本術式は合併症としての癒着による腸閉塞が起こりにくいとわれている。
今回講座では我々が行っている消化器外科領域における主要疾患の内視鏡外科手術の代表的な手技を供覧する。その上で術後癒着に対する防止に関しその手技と工夫について供覧するとともに癒着防止材の種類、その使用法や今後の課題などについて解説する。
- 本邦における内視鏡外科手術の変遷と現況
- 当院の現況
- 手術内容・件数および臨時手術内容・件数の推移
- 内視鏡外科手術内容と件数の推移
- 腹部救急外科領域手術内容と件数の推移
- 基本的な手術手技
- 大腸がんにおける開腹術および内視鏡外科手術手技
- 消化器外科領域主要疾患における内視鏡外科手術手技
- 癒着防止材の使用法と工夫点
- 開腹術における癒着防止法の実際
- 内視鏡外科手術における癒着防止法の実際
- 消化器外科領域において使用される癒着防止材と今後の課題
第2部. 腹腔鏡手術での外科材料 (癒着防止材など) の挿入デバイスの開発
(2018年4月12日 12:15〜13:45)
腹腔鏡手術ではポートと呼ばれる筒を通して外科材料 (ガーゼ、癒着防止材、止血材、メッシュなど) をいれるため、それに適した材料の形状やデバイスの開発が必要である。本講座では腹腔鏡手術で外科材料を挿入するときの問題点を整理するとともに、演者が行っている外科材料の形状工夫やデバイス開発の経緯とその特性について紹介する。
- “そのままでは入らない“
- 腹腔鏡手術で外科材料を挿入するときの問題点
- 5mmポートを多用する手術の増加
- “捩じって入れる” – 5mmポートから挿入する技術の開発 -
- トルネード法 (ガーゼ、サージセル)
- トルネード法から商品化:トロックスⅡD カートリッジ
- “折って入れる” – トルネード法からの発展 -
- 癒着防止材 (セプラフィルム) 、止血材 (インテグラン)
- 折って入れることの利点
- “先まで運ぶ” – デバイスの開発 -
- シリンジ状デバイスの開発:Sumrai – D
- Sumrai – Dをつかった外科材料挿入の実際
- “腹腔内で広げる” – 自己拡張型形状の開発 -
- Origami工学・ミウラ折りから発想:Chevron Pleats法
- Chevron Pleats法をつかった外科材料挿入と展開の実際
- シンプルさを求めて…
第3部. 多糖複合フィルムを用いた自立性と曲げに強い癒着防止材の開発
(2018年4月12日 14:00〜15:30)
本講演では、我々が最近開発した天然多糖のみを原料とした水に不溶な自己支持性フィルムの基本的な作製法や物性についてふれたのち、癒着防止材としての応用可能性を支持する幾つかの研究例について紹介する。
- バイオマテリアルとしてのフィルム材料
- バイオマテリアル
- バイオマテリアルとしてのフィルム材料
- 医療に関わるフィルム材料
- 癒着防止材としてのフィルム材料
- 多糖複合フィルムの作製と基礎物性
- 多糖複合フィルム
- フィルムの作製
- フィルムの構造および材料特性
- 多糖複合フィルムの生体材料としての機能と癒着防止材への応用可能性
- フィルムの物質担持および徐放能
- フィルムの物質透過能
- フィルムの細胞足場材料としての機能
- フィルムの生分解性
- フィルムの癒着防止材としての可能性