本講演では、電磁波の吸収・遮蔽技術について、電波工学が専門ではないエンジニアの方々を対象とし、基礎的な事柄を重視して解説を行う。電波伝搬の概略、反射・透過・吸収などのイメージを豊かにし、その後、個別の説明を行う。 吸収・遮蔽分野の技術テーマを網羅することよりも、考え方、物理的な意味合いと具体的な設計方法を重視する。特に最近では、自動車関連の吸収・遮蔽技術に関心が高まっている。具体的には、ミリ波レーダに対応する電波吸収体、ハイブリッドや電気自動車のような駆動用大電力機器の電磁遮蔽である。本講演ではこれらの吸収・遮蔽技術の課題、設計の問題点、具体的な設計法などを解説する。 まず、最初に電波伝搬の基礎を解説し、電界、磁界、周波数と波長、波動インピーダンス、伝搬定数、誘電率、透磁率などの基礎用語の理解を深める。次に、反射と透過現象、反射係数、透過係数の説明、伝送線路モデルの導入を行う。 電波吸収体については、吸収体モデルと設計法基礎を解説し、例としてミリ波帯レーダを対象とする吸収体設計を紹介する。 電磁遮蔽については、ノイズ発生原因の考え方、遠方界と近傍界、電界遮蔽と磁界遮蔽などの基礎をまず解説し、次いで導電材を用いる遠方界遮蔽材、および車載の大電力機器で発生する近傍磁界の遮蔽の考え方などを解説する。
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