(2018年3月26日 10:00〜11:30)
がん治療において、主要な役割を担う化学療法施行時の嘔気・嘔吐の制御は治療の継続や、治療中のQOLに関わる重要な要素です。現在は多用な制吐剤を使用可能であり、これらを単剤ではなく、複数組み合わせて用いることが一般的であり、さらに新しい制吐剤であるNEPAや近年注目されているオランザピン (OLZ) など、これらを用いた組み合わせの選択肢は増加の一途をたどっており、最良のレジメンを検証することは容易ではありません。そこで、新たな統計学的手法であるネットワークメタ解析の手法を用いて、制吐剤の効果について高度催吐性化学療法を用いた前向きランダム化比較試験を対象とし、各制吐剤レジメンの有用性の検討を行いました。その解析結果を報告するとともに、最適な嘔気・嘔吐への治療法についてご参加の皆様と考察したいと思います。
(2018年3月26日 12:15〜13:45)
がん治療の目標はがんの完治 (寛解) か症状緩和である。治療継続するためには副作用のコントロールが必要である。なかでも、悪心・嘔吐は患者が最も心配する副作用である。現在、がん薬物療法は「制吐薬適正使用ガイドライン」で定められた制吐薬が使用されている。がん治療の実臨床を説明し、制吐薬の使用状況と問題点を検討する。そして、患者、医療スタッフから求められる制吐薬とはどのようなものか腫瘍内科医の立場から解説する。
(2018年3月26日 14:00〜16:00)
制吐剤を開発する上で、実験動物の悪心・嘔吐を正しく評価する必要がある。今回、悪心・嘔吐の発症機構と制吐剤の薬理機構を概説し、さらに実験動物を用いた嘔吐評価法の現状と課題を紹介する。一方、嘔吐に随伴して現れる悪心は患者の主観に影響される症状のため、実験動物では評価できないと考えられていたが、演者は齧歯類動物の特異な行動変化から齧歯類動物の悪心を評価する研究を行ってきたので、その技術を紹介する。