(2018年3月29日 10:00~11:30)
錯覚は、種々の受容器から知覚された情報を脳で統合化する過程で客観的事実と異なる結論を得ることで生じる。したがって、脳の機能解明を進める上で重要なヒントを与えてくれる可能性がある。また、客観的事実とは異なる感覚を生成するという仕組みを逆手にとって工学的に活用する可能性がある。 本講では、錯覚の中でも触覚の錯覚、錯触の仕組みについて解説するとともに、それを仮想現実感へ応用する取り組みについて解説する。 個人的体験である錯覚現象を数値化する試みは、人の感じ方を客観的に評価したい場面に共通に参考になるものと思われる。例えば、ユーザーが製品を評価する場合などが考えられる。本講座を受講することでそのための方法論に関する理解が進み、各自の製品開発に役立ち得るように配慮した情報提供に努める。
(2018年3月29日 12:10〜13:40)
触覚は、自身の皮膚変形や温度変化を基にしています。また、触動作には、基本的に触覚のフィードバックが作用しています。したがって、触覚は極めて主観的であり、身体性の高い感覚といえ、対象のみならず人の理解が、有用な触覚デバイス開発と使い方には肝要と思います。本講演では、人の触覚知覚メカニズムを皮膚特性や運動特性から概観し、それらをベースとした、触覚の評価や応用の可能性について紹介します。
(2018年3月29日 13:50〜15:20)
昨年はVR元年と呼ばれ,VR普及に向けてのさまざまな要素が出揃った年でした。これまでも何度かVRがブームになったことはありましたが、今回のVR元年としての盛り上がりはこれまでのブームとは違い,VR技術がコンテンツ体験の一形態として一般化してきていることを感じさせるものとなっています。 前回のVRのブームの後には触覚がブームになりましたが、今回も、去年、今年と触覚に注目が集まってきていると思います。これまでブームで終わってきた触覚もVR元年の動きになぞらえると触覚元年として、さまざまな触覚技術を普及させる年にできるのではと考えています。 その触覚元年のキーになるのは安価な触覚デバイスの登場であると考えます。触覚の普及に向けて市販部品で安価に製作できるオープンソースハードウェアとして力触覚デバイスについて実習を交えて紹介します。
(2018年3月29日 15:30〜17:00)
技術開発競争の激化するハプティクステクノロジー。急激な勢いで、その実用化が世界規模で進められています。 本講演では、高度化が進むハプティクス技術の世界的な技術動向 (トレンド&ニーズ) を、旧来型から最先端技術まで俯瞰していくとともに、産業技術総合研究所とミライセンス社が独自に開発した世界初の「錯触力覚技術」をベースとする、「3D触力覚技術」 (特許30件) の解説を行います。また、VR・ARをはじめ、各業界で進められている、ミライセンス社3D触力覚・高機能モジュール商品群を組み込んだ具体的な各種開発事例に関しても紹介します。 ビジネス的な観点からは、昨今、激化しているハプティクス関連特許取得競争を踏まえ、ハプティクスのビジネスを進めるにあたり必須となる、特許戦略やミライセンス社が進める世界マーケットに向けたビジネス戦略に関しても解説してゆきます。 本講演を受講することにより、ハプティクスビジネス開発のための基盤となる最新技術情報、特許関連情報、そして、ビジネス戦略など、幅広い知見が習得できることを目指します。