第1部 炭素繊維強化複合材料の母材樹脂への要求特性と樹脂側から見た界面設計
(2018年3月30日 10:30〜12:00)
CFRPは航空・宇宙機器、釣竿・ゴルフクラブシャフト・テニスラケット等のスポーツ用品から、最近では自動車、建材、電子機器、風車等の種々の産業用途に適用されている。
本講演では、まず使用される構成要素や成形法を交えながらCFRPの概要について述べる。次いで、CFRPのマトリックス (母材) となるプラスチック (樹脂) への要求特性をその理由とともに解説し、具体的に適用されてきた樹脂の特徴について説明する。
さらには、最近研究中の新規熱可塑アクリル系マトリックス樹脂を例に挙げ、界面設計の重要性について解説する
- 炭素繊維強化プラスチック (CFRP) の概要
- 特徴
- 用途
- マトリックス (母材) 樹脂
- 熱硬化性樹脂
- 熱可塑性樹脂
- マトリックス (母材) 樹脂に求められる特性
- 弾性率
- 界面接着
- 変形能力
- 熱可塑アクリル樹脂をマトリックスとしたCFRP
- 官能基含有モノマー共重合による界面設計
- 破壊モード、耐疲労性と界面
- 耐溶剤性向上へのアプローチ (イオン架橋)
第2部 樹脂と炭素繊維間における界面破壊の機械工学から見た防止方法とじん性改善
(2018年3月30日 12:50〜14:20)
炭素繊維強化プラスチックを含む繊維強化複合材料全般の中での界面破壊の位置づけや必要性、その発生理由などを紹介したうえで、界面破壊の発生を決める力学的指標として、界面強度と繊維強度とのいわゆる兼ね合いから決まる臨界繊維長を中心に紹介する。また、き裂の力学である破壊力学の視点から見た場合の界面破壊の考え方を中心に、その測定方法や簡単な範囲でのシミュレーション方法を紹介する。さらに界面破壊の力学的な防止方法の事例をいくつか紹介し、界面破壊の重要性を紹介する。
- 複合材料における内部損傷とは
- 複合材料の中で起きる最終破壊前に起きる3つの損傷形態
- その発生の有無と順位を決める力学的因子 (指標)
- 界面破壊が引き起こす連鎖現象
- 界面破壊の発生を決める力学的指標
- 臨界繊維長とは
- 臨界繊維長の視点から見た界面破壊の発生指標
- 臨界繊維長の測定方法の実例
- き裂の力学 (破壊力学) から見た界面破壊
- 界面の力学と破壊力学との関係
- 界面き裂のき裂モード
- 界面のじん性の指標値
- 界面のじん性の測定法方法
- 界面のじん性のシミュレーション方法 (概説)
- 界面破壊の力学的な防止方法の事例
- 界面せん断応力を低減する方法
- 界面近傍の力学場を変更する方法
- 界面破壊の抑制効果の実例 (衝撃荷重に対して)
- 界面破壊の抑制効果の実例 (繰り返し疲労荷重に対して)
第3部 炭素繊維 – 樹脂界面特性の解析の基礎と評価方法
(2018年3月30日 14:30〜16:00)
繊維強化複合材料の界面特性の評価方法の原理を理解することは、複合材料の優れた力学物性が発現するメカニズムを理解することそのものであり、複合材料の設計・応用上極めて重要である。そこで、各種評価方法の背景にある基本的な原理を中心に解説する。
- 界面における応力伝達・破壊を理解するための基礎
- 応力・ひずみとは
- テンソルの座標変換と界面の応力状態
- 強度と破壊靭性の相違
- 破壊基準と界面破壊の様々な様式
- 界面強度の制御の重要性
- 界面強度及びマトリックス靭性が一方向複合材料の引張強度に与える影響
- 界面強度及びマトリックス靭性が一方向複合材料の圧縮強度に与える影響
- 界面強度の各種測定方法:破断面観察による方法
- 界面強度の各種測定方法:実用複合材料を用いる方法
- 曲げ試験
- 直接せん断試験
- Vノッチビーム試験 (Iosipescu試験) ・その他の方法
- 界面強度の各種測定方法:モデル複合材料を用いる方法
- 単繊維引抜試験
- フラグメンテーション試験
- 界面強度と複合材料中の繊維強度の同時測定
- 界面強度の各種測定方法:機器分析等を用いる方法
- ラマン散乱を用いる方法
- 複屈折を用いる方法
- 熱音響試験