ER (電気粘性) 流体、磁性流体、およびMR (磁気粘性) 流体は、機能性流体として分類され、電界または磁界の印加・除去により、見かけの粘弾性が可逆的に変化する流体です。このような特性は、電気的・磁気的信号によってアクティブ制御ができ、かつ特性の変化割合が極めて大きい点に特徴を有します。また、これらの流体は、機械システムに導入することが比較的容易であり、今後のアクチュエーター技術を支える制御要素として広範囲な応用が期待されます。
本講演では、機能性流体のメカニズムや特性などを基本的な見地から調査し、実用的な開発状況と応用技術について解説します。
- はじめに
- 機能性流体とその歴史的背景
- 機能性流体の基本原理と物理的挙動
- 機能性流体の研究動向と応用分野
- ER (電気粘性) 流体
- ER流体の種類と組成
- ER効果発現メカニズムと応力特性
- 分散系ER流体と均一系ER流体のER効果 (基本的応力特性)
- ER効果発現の理論的検討 (球形粒子分散系ER流体)
- 板状アルミナ粒子分散系ER流体のER効果 (静的特性と動的特性)
- 分散系ER流体が具備すべき条件
- ER流体デバイスと関連技術への適用
- ER流体の応用技術
- ER流体の応用デバイス
- 応用デバイスが抱える問題
- ERゲル (ERG) の開発とその応用例
- 磁性流体
- 磁性流体とその磁気的性質
- 磁性流体の種類と組成
- 磁性流体の磁気的挙動
- 磁性流体の応用例
- MR (磁気粘性) 流体
- MR流体とその磁気的性質
- MR流体の組成
- MR流体の磁気的挙動
- MR流体と磁性流体との相違
- MR効果の発現
- MR流体の基本的応力特性
- MR流体が具備すべき条件
- MR流体が抱える問題
- MR流体の実用的開発 (問題点の解決検討)
- キャリア流体のチキソトロピー化
- 開発したMR流体と性能評価 (粒子分散安定性と応力特性)
- MR流体の応用技術
- MR流体の関連技術とデバイスの基本的設計
- MR流体の応用デバイス例
- MC (磁気混合) 流体とその応用
- 特許に見られる機能性流体の期待用途
- ER流体に関する特許と期待用途
- 磁性流体に関する特許と期待用途
- MR流体に関する特許と期待用途
- まとめ