(2018年3月5日 10:30〜12:00)
昨今、ドライアイによる眼痛が、神経障害性疼痛に類似した病態を呈することがクローズアップされています。眼を含む口腔顔面領域の体性感覚を司る三叉神経が、ドライアイや神経障害性疼痛発症時に、末梢から中枢神経系に至る過程でいかなる機能的変化を生じるかについて、動物実験から明らかになってきたことを述べさせていただきます。さらに、ドライアイにより生じる眼痛を末梢組織の治療により緩和することができるか否かについて、最近の我々の研究データを紹介して解説したいと思います。
(2018年3月5日 12:45〜14:15)
社会における環境の変化に伴いドライアイの概念が見直され、それに伴いドライアイの定義、診断基準が改定されました。ドライアイ診断の幅が広がった分、より正確に病態を把握した上、適切な治療が求められるようになりました。本講演ではドライアイの治療の現状と今後の課題について、特に重症ドライアイに焦点をあてて臨床医の立場からお話をさせていただきます。
(2018年3月5日 14:30〜16:00)
薬物の眼内組織への薬物移行は、眼組織における生体膜透過バリアである血液一眼房水関門および血液 - 網膜関門により制限されており、その移行は非常に低いことが知られている。眼科領域、とくに外眼部あるいは前眼部疾患における薬物療法では、簡便かつ安全性の高い点眼薬がもっとも広く使用され、治療薬は主として角膜上、あるいは結膜嚢内に点眼投与される。眼内へは角膜および結膜を透過し移行するが、角膜が主要経路であり、薬物の眼内移行率は最大でも投与量に対して約5%である。眼内移行性の良否は、点眼薬の開発に際してもっとも重要な項目の一つであり、薬物の角膜透過性を把握することが重要となる。 本セミナーでは点眼された薬物の眼内動態 (ocular pharma – cokinetics:PK、眼組織での吸収・分布・代謝・排泄) に関して、その評価法、影響を与える因子、薬理作用との関係などについて解説する。
(2018年3月5日 16:15〜17:30)
近年、ドライアイに対する臨床および基礎研究はさかんに行われるようになりました。しかし、根本的な原因特定には至っていないため、ドライアイの発症や進展にかかわる病態を解明することが大切と考えられます。免疫応答に関与するドライアイには自己免疫疾患の代表的疾患であるシェーグレン症候群および造血幹細胞移植後の移植片対宿主病 (Graft-versus-host disease :GVHD) によるドライアイが挙げられます。両者は類似のドライアイを呈します。 今回GVHDマウスモデルを用いて涙腺、角結膜に生じている病態について全身諸臓器と併せ動物実験から明らかになったことを述べさせていただきます。ドライアイと自己免疫疾患および免疫性線維化との関連性について、最近の私達の研究データを紹介して解説させていただきます。